追撃隊 アホな鳥と出会う 7
「うん!あ、その代わり、コケの質問に答えてほしいんだけど、いいー?」
「あ、はい。何でしょう?」
「アンタたちからご主人様の気配がするんだけど、ご主人様がどこに行ったのか知ってる?」
「え?ご主人様…ですか?」
ご主人様と言えば、恐らく名付け親のことだろうが…最近魔物に名前をつけそうな人と関わりましたっけ?
「その…心当たりがないのですが、そのご主人様のお名前は分かりますか?」
「んぅ?名前……忘れちゃった!」
「忘れちゃいましたかぁ……」
屈託のない笑顔でそう発言する美少女は確かに可愛いのだが、名前が分からないのでは関わりがあったかどうかも分からない。
「うーん…何かそのご主人様の特徴とかありますか?こう、毎日こんなことしてて、こういう方だよー、みたいな」
「んぅ?確かー…毎日森の中を散歩してて…たまにゴブリンたちのところに行って殴り合い?みたいなことしてたりー……」
……おや、そのご主人様はだいぶアグレッシブな方のようで…
ってん…?ゴブリンと殴り合い…?
「えーっとー……あ!そういえばある国から逃げてきたって言ってたよ!元々はそこの国のお嬢様だったらしいけど、悪いことしちゃったから逃げちゃったんだって!」
「あ…あ…」
アウトー!
どう考えてもご主人様は私の親友一択のようですね。
ゴブリンと殴り合いをして、とある国から逃げ出したとあれば一人しかいません。
よもや魔物に、しかもコカトリスに名付けをするとは……我が親友は一体何をしているのやら……
「…どうやら、貴方のご主人様が誰か分かりましたよ」
「おぉ!本当!?それは良かった!それで、ご主人様はどこか分かる?」
「はい。貴方のご主人様はこの山の向こうですね」
そう言って、私は【竜の巣】の方を指差す。
美少女は、私の指先を追って【竜の巣】を見上げた。
「……うへぇー…この向こうなの?確かに、気配がここから一気に薄くなるし、やっぱり越えるしかないよねー?」
一瞬嫌そうな顔になるが、すぐに気を取り直すとそんなことを言い出す。
「え?この山の越え方が分かるのですか?」
「んぅ?分かるよ!ご主人様の気配を追っていけば何となく!気配も薄くなっただけで全く無くなった訳じゃないし、これならまだ追えるよ!」
なんと、この美少女は【竜の巣】の越え方が分かる模様。
その話を聞いて、私はあることを思いついた。




