絶対に許しません 絶対です 15
「おお、見た目もそっくりではないか。いや…幼くなったのか?」
「言いがかりは止めてください。いいから始めますよ」
すでに風の魔法は切れているからヴィサス様たちまで声は聞こえないだろうが、万が一がある。
こうなれば、さっさと倒すに限る。
「それもそうだな。それでは、始めるとするか!」
大剣を振りかぶり、目にも止まらぬ速度で振り下ろす。
それを、私は左側に横身になって紙一重で躱し、そのままキングゴブリンの脇腹に裏拳を入れる。
「おっと!目がいいな。それに速い。これは楽しめそうだ」
キングゴブリンは、私の裏拳を左手で受け止めた。
そのまま私の拳を握りつぶそうとしてきたので、私は後ろに飛び退いて距離を取る。
「次はもっと速く行くぞ!」
宣言通り、さっきの攻撃よりもさらに一段速い横薙ぎの攻撃。
私はそれを屈みながら突進して避け、その勢いのままキングゴブリンのお腹を突いた。
しかし…
「なんだ、その程度か?それでは期待外れだぞ?」
全く効いていない。
確実にクリーンヒットしたはずなのに、ダメージを受けた様子がない。
「なるほど。その巨体はただの飾りではない、ということですね」
私は再び後ろに飛び退いて距離を取った。
「当然だ。この鍛え上げられた鋼の肉体を前に、生半可な攻撃はむしろ隙を晒すだけと心得よ」
「…わかりました。久々にもう少し出力を上げます」
全身に巡らせている魔力の密度を上げる。
一気に身体から魔力が溢れ出し、その衝撃に私が立っている地面が少し陥没した。
「それでは、行きます」
そして、一瞬でキングゴブリンの懐に入ると、さっきと全く同じ場所に突きを叩き込んだ。
「ぐっ!ぐぅぅぅぅ…っ!」
私の拳がキングゴブリンの腹にめり込み、衝撃で数歩分後ろに身体が滑る。
「…なかなかやるな。今のは結構効いたぞ」
「あら、それは良かったですね」
キングゴブリンの後ろで答える私。
「なに!?後ろ!?」
「遅すぎます」
キングゴブリンの右脇腹に蹴りを一閃。
ドゴォッ!!
ものすごい音が響き渡り、キングゴブリンは左に吹っ飛んで地面を転がった。
ギャーッ!ギャーッ!
外周にいるゴブリンの軍勢も興奮して叫び声を上げている。




