創世神話 5
「……姉様?」
おっと、どうやら考え事をし過ぎて妹を放置してしまったようだ。
不思議そうに首をかしげる妹が視界に入る。
妹は時間と空間を操る。
その力を使い、度々別の世界へと旅に出かけることがある。
妹は別の世界のことを【異世界】と呼び、そこには妾たちと同じような存在である【神】がいて、同じように星や生命を作っているのだとか。
ただ、同じ【神】と言っても持っている力はそれぞれの異世界によって全然違うらしく、見た目も名前も、作った星や生命の形、世界の法則に至るまでだいたい違うらしい。
そして、妹のように異世界へ行けるものは今のところいないんだとか。
そして、妹は異世界を旅しながらそこであったことを妾に語ってくれる。
最近はある異世界にハマっているらしく、よくそこに行っては話を聞かせてくれた。
世界の法則は妾たちの世界とほぼ同じらしい。
そして、魔法がなく、代わりに科学(?)が発達した世界らしく、電球や冷蔵庫などいろいろ面白いものを教えてくれた。
「いろんな世界をまわって分かったことなんですけど、存在する次元が違うだけで全ての異世界は私たちの世界と繋がっているのかもしれませんね」
妹の話はよく分からないが、妹が言うには異世界同士は繋がっていて、妾たちのような存在が生まれたのはほぼ同時期なんだとか。
その上で、時間と空間を操る力を持つものは妹しかいなく、妹が時間と空間を作った時点で別の世界にまで波及。
全ての異世界でも時間と空間が広がっていった、ということらしい。
……うん、よく分からん。
「今回の異世界はですね、少し不幸が重なったらしく、たまたま生命が滅亡してしまったようでした」
妹の話によると、妹が現れたときにはすでに手遅れで、生命があるもの同士の争いによって星が跡形もなく破壊されてしまったのこと。
それを見て悲しそうに背中を丸めていた妾たちと同じ存在である【神】に出会い、慰めてきたのだとか。
生命たちは滅ぶ時は簡単に滅ぶらしく、それを防ぐために妾たち【神】が幾度と干渉すれば、干渉を受けた者たちが何故か神の使徒を名乗り、傲慢にもその他の生命たちを支配しようとする。
そして、いつしか革命と反乱が起き、その果てに滅んでしまう。
逆に何もしなければ、それはそれで生命を持つもの同士の争いが激しくなり、その内滅んでしまう。
どの世界でもこの流れは共通らしく、生命というのは数が増えて知恵を持つと争い出してしまうらしい。
自分たちで作っておいて何だが、愚かだなぁと思う。




