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絶対に許しません 絶対です 14

「我は人間たちにはキングゴブリンと呼ばれていた…まあ、名前なんてどうでもいいか。さて、本題だが…そこの」



私のことを指差すキングゴブリン。


……え、私?



「お前だお前。お前から懐かしい魔力を感じる。この魔力は…魔王…?」



え、このキングゴブリン、私の前世と関わりがあったのか?


というか、私の前世が魔王とバレては非常に面倒な事になる。


この国は魔王を倒した勇者が興した国だ。


その国の中に魔王の転生者などいれば大問題になる。


きっと捕らえられ、悲惨な目に遭うだろう。



「魔王…?メアリー様が?」



ヤバい。ヴィサス様が困惑した目で私を見ている。


レオン殿下は何を考え込んでいるのか、口に手を当てて俯いている。


ってそれどころじゃない!早いとこ言い訳しないと…



「何を言っているんですか?私はどこからどう見ても人間です。魔王なんかと間違えないでください」


「…まあ、そうだろうな。たまたま魔力の波長が魔王と似ただけだろう。珍しいこともあるものだ」



すぐに私=魔王説を否定してくれたので助かった。



「そ、そうですよね。メアリー様が魔王だなんて、そんなことあるはずありません。申し訳ありません、メアリー様。すぐに信じられなくて」


「いえいえ。いろんなことがありすぎて混乱するのはわかります。私は気にしていませんよ」



どうやら、ヴィサス様はよく考えたらあり得ないと思ってくれたようでよかった。


レオン殿下は、相変わらず何か考え込んでいる。



「さて、懐かしい魔力の謎は解けたことだし、次はお前たちを歓迎するとしようか」



そう言って、キングゴブリンは右手を何も無い空間に突き出すと、空間が割れ中から巨大な大剣を取り出す。


その瞬間、部屋全体の圧力が増した。


本気の殺気だ。


これだけで、並の兵士なら恐慌状態に(おちい)るだろう。



「な…なにこれ……急に…力が入らなく……」



ヴィサス様もプレッシャーに耐えることができず、杖を支えにしながらゆっくり膝から崩れ落ちる。



「お前たち、我が指示を出すまで動くんじゃないぞ。まずは我が楽しむ」



巨大なゴブリンは部屋の中央までゆっくり歩いてくる。


他のゴブリンたちは、部屋の外周を取り囲むように広がっていった。



「そこのお前が一番強いのだろう?漏れ出す魔力で丸わかりだ。他二人に比べて明らかに大きい。もしお前が我との一騎打ちに勝てたら、お前たち全員を解放しよう」



再びのご指名だ。


しかも、勝てたら解放してくれるとのこと。


周りもゴブリンで囲まれているし、これは受けるしかない。



私は、キングゴブリンと同じように部屋の中央に歩いていく。



「…申し訳ありません、メアリー様……私…」


「大丈夫です。必ず勝ってきます」



お二人のためにも、必ず勝利してみせる。

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