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公爵令嬢は、元魔王です?  作者: ゆー
本編 20
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初めて来た懐かしい場所 6

「…………ん?」



(ことわり)の聖女…?



『誰ですかそれは。聖女とは一人ではなかったのですか?』



もう一人の私であるメアリーからそんな突っ込みが入る。



「……おや?もしや(わたくし)のことをお忘れになったのですか?それは少し悲しいです…」



妾がピンときてないことを察したのか、スターシは少し悲しげな表情を見せる。



『どういうことですか。忘れたって言うことはかつての知り合いとかそういうのじゃないんですか?ちゃんと思い出してください』


『ちょっ、ちょっと待て…!今記憶を探っているから……!』



聖女聖女……


確か、()が地上を管理するという名目で作ったのが始まりだったよな…?



「……ルナ様。突然のお声がけ誠に失礼します。申し訳ありませんが、これをご覧になられればすぐに思い出されると思います」



そう言うと、スターシは杖に魔力を送り始める。


杖の先端にある三日月が淡く光り始めた。



「__この世の(ことわり)を制定せし月の神、名は()()。聖女の名において、その大いなる力を我に貸し与えたまえ…」



これは、聖女特有の魔法を使う時に唱える呪文。


しかし、イーリスが唱えていた呪文とは少々文言が違うようだ。


そして、問題はその呪文の内容である。



『ちょっ!ちょっとどういうことですか!?月の神とか言ってますよ!?しかも名前が貴方の名前じゃないですか!』


『い、いやちょっと待て!まだ()()()()()()()ぞ!?』



内側からメアリーの怒涛の突っ込みがこれでもかと突き刺さる。



マズイ…!まだ話す覚悟は出来ていなかったのにこんなところでバレてしまうのか…!?



そうやって焦ったところで、今更スターシの詠唱は止まらない。



「__力の根源たる雷よ。我がもとに集いて敵を貫け!【神の霹靂(へきれき)】!」



その瞬間、杖の先端にある三日月から稲妻が走り、轟音が鳴り響く。


そして、そのまま妾の横にある床を貫いた。


床を穿(うが)ち、破片が飛び散る。



「……どうでしょうか?模擬的なものなので威力は抑えておりますが、これで思い出して頂けましたでしょうか…?」



おそるおそるといった様子で、妾の顔色を伺うスターシ。



「う、うむ……そうだな……」



妾しか使えないはずの雷。


ここまで見せられてはさすがに認めざるを得ない。


目の前の聖女は、確かに()()()()()()()()()()だった。



しかし、これで一つ絶対に逃れられない問題が発生してしまった。



『……分かっていますよね?あとで説明、よろしくお願いします』


『ああ……分かった……』



時の流れとは、妾が思う以上に早いものなのだな…



逃げられないことを悟り、妾は心の中で盛大にため息をついた。

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