絶対に許しません 絶対です 13
「…何も起きないな」
「…そうですね」
……どこまで歩いただろうか。
ここまでずっと一本道で、結構奥まで来たと思うが、拍子抜けするくらい何も起きていない。
ここまで何も起きなさすぎると、警戒する集中力も持たなくなってしまう。
いい加減、本命に当たりたいものだが…
「…あ!あそこから光が漏れてますよ!」
ヴィサス嬢が奥を指差す。
そこには確かに、光がこちら側に向かって少し漏れ出していた。
「もしかして、このまま反対側の出口に出てきたとか、そういうオチか?」
そうだといいが、この場合は……
私たちは、光が漏れ出している出口のようなところをくぐり抜ける。
「……ようこそ。我が城へ」
やはり、敵の本拠地だった。
「なんですか?あれ…見たことない…ゴブリン…なのですか…?」
そこはとても広い空間だった。
ドーム状に広がっていて、その大きさは人が何千人と入っても余裕ができるくらいには大きい。
壁伝いに等間隔でたいまつが付いていて、部屋全体が見渡せるくらいに明るくなっている。
そして、そこかしこにゴブリンの群れがいっぱいである。
普通のゴブリンに進化種であるハイゴブリン。
ゴブリンにオーガの巨体と凶暴性が掛け合わされた、ゴブリンオーガまでいる。
一番奥には、石でできた巨大な玉座のような物があり、そこにゴブリンメイジを4人ほど侍らせて堂々と座っている同じく巨大なゴブリン?が1人。
ヴィサス様が言っているのも、一番奥で座っている巨大なゴブリン?のことだろう。
っていうか、しゃべってなかった?あのゴブリンみたいなやつ。
「懐かしい魔力を感じてみたから誘ってみたが、人間ではないか。どういうことだ?」
そう言って、石の玉座から立ち上がる巨大なゴブリン。
その大きさは、大の男3人分くらいはありそうだ。
「…いや、ちょっと待て……まさかあれは…」
「レオン殿下?見覚えがあるのですか?」
「ああ…王宮の図書館にあるとても古い文献で見たことがある気がする…人間の言語を理解し、烏合の衆であるゴブリンたちを唯一統率できるとされる古より語られる伝説の魔物…」
「おお、我のことを知っている者がいるな。もう随分と昔のことだが、人間と争ったこともあるからな」
耳も相当いいらしい。
ほぼ、端から端までの距離なのに会話できている。
「いえ、これは例の音を集める風魔法でしょう。緑色のローブを着たゴブリンメイジから少しだけ魔法を発動している気配があるので、おそらくは」
……だそうだ。
耳が尖っているから音を拾いやすいのかなとか思っていた訳では無い。断じて。




