かつての朋友との再会 22
「はぁぁぁぁっ!!」
イーリスは突進してきた勢いのまま、私に右ストレートを放つ。
私はそれを左手で受け止めた。
「アイシクル・レイン!」
そのとき、ヴィサス様から呪文を唱える声が聞こえる。
先ほどと同じ氷の刃が私に襲いかかる。
しかし、先ほどと違って氷の刃がイーリスを避け、私にだけ飛んでくる。
「はっ!やっ!」
イーリスは氷の刃を気にしていないのか、左フック、右回し蹴りを私に放ってくる。
私は左手で氷の刃を弾きながら右手で左フックをいなし、後ろにジャンプして回し蹴りを避ける。
そのとき、ついでに氷の刃をイーリスに当たるように弾いてみる。
すると、イーリスの触れそうになった瞬間、軌道が変に逸れた。
そして、そのまま氷の刃はイーリスに当たることなく地面に落ちてしまった。
……なるほど。氷の刃の軌道を完全に制御しているのですね。
それに……
「はぁっ!やぁっ!」
イーリスの速度とパワーがかなり高いですね。
無属性魔法である身体強化をかなりの練度で修めているのでしょう。
身体強化だけで言うなら、ヴィサス様より上なのでは?
だから前衛がイーリスで後衛がヴィサス様なんですね。
無属性魔法を教えたのは三ヶ月前で、その当時は無属性魔法が何たるかすら理解していなかったというのに……
私はおもむろに、イーリスに向かって拳を放つ。
__バチィッ!
すると、イーリスに当たる直前に空気の壁のようなものに当たった。
「イーリス!」
「ふっ!」
ヴィサス様の呼ぶ声が聞こえたと同時に、イーリスが後ろにジャンプする。
その瞬間、私の拳が空気の壁を突き破った。
もしそのままイーリスが離れずにいれば、私の拳を食らっていただろう。
イーリスは空中で一回転すると、ズザーッと地面を滑りながらヴィサス様の近くに着地する。
「……イーリス、メアは私たちを殺すつもりはないと言いました。つまり、それだけパワーを抑えてくれているということです。それならば、私のシールドで一瞬耐えられます」
「分かった。その一瞬で避ければいいのね?」
「はい…出来ますか?」
「誰に向かって言ってんのよ。私は聖女よ?これくらい朝飯前よ」
「…フッ、それなら良かったです。それなら__」
何やら私に聞こえないように小さな声で相談しているようだ。
そして、二人の意識がこちらに向くのを感じる。
「作戦会議は終わりましたか?」
「はい。お待たせして申し訳ありません。それでは、イーリス……」
「分かってるわ、ヴィサス。行くわよ……」
「「散っ!」」
先ほどと同じように、イーリスが前にヴィサス様が後ろに下がった。
第2ラウンド開始のようだ。




