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絶対に許しません 絶対です 9

「おーい!無事かー!?」



瓦礫の山の奥から、シルトの声が聞こえてきた。



「こっちはメアリー嬢に守ってもらったから無事だー!それよりも、お前たちの方はどうなんだー?」


「こっちも大丈夫だ!ゴブリンメイジはどっかに行っちまった!」



外がやけに静かだと思ったら、すでにゴブリンメイジはいなくなっていたらしい。



「それにしても、すまーん!ゴブリンメイジの放った魔法が洞窟入口の上の方に当たっちまって、それで崩れちまったみたいなんだ!瓦礫が多すぎてこっちからは行けそうにないが、そっちはどうだー?」



なるほど、それで急に崩れたのか。

理由に納得。


しかし、何故ゴブリンメイジが引いたのか、そっちのほうが気になるが…



「んー、そうだな…メアリー嬢。どうだ?」


「え?あ、はい。そうですね……」



今はここから出ることに集中しよう。


私は瓦礫の山に手を当てる。



「できない事もないですが、たぶんここら一帯全部崩れ落ちるでしょうね」



私の渾身の一撃をお見舞いすれば、この瓦礫の山は確かに吹き飛ぶだろう。


しかし、衝撃が強すぎて洞窟そのものが耐えられないと思う。


きっと、みんな一瞬で生き埋めだ。



「私は耐えられるかもしれませんが、レオン殿下とヴィサス様が耐えられないでしょうね」


「なるほど、それもそうか…ヴィサス嬢の土魔法でも、さすがに厳しいよな?」


「はい、申し訳ありません…今の私の練度では、細かく砕けた岩の破片たちの重心などが計算しきれません…」


「だよな…俺は土魔法の適性はないし、ここは助けを待つしかないか…ヴィサス嬢、これを」



レオン殿下は、どこからともなく取り出した、小さな小瓶をヴィサス様に差し出した。



「これは…ポーション!?」



ポーションとは、飲むだけで身体の傷を癒す事ができる液体で、作るためには貴重な光の魔導士が必要になる、少しお高い薬だ。



「こんな高いもの、頂いてもいいんですか?」


「ああ、元々は俺のためにと持たされていた物だからな。俺がどう使おうと問題ない。それに、あと数本残っているから、もしものときは遠慮なく使ってくれ」



そう言って、何の変哲もない手のひらに乗るくらいの小さな袋から、さらに3本のポーションを見せる。



明らかに容量を超えた物を出したあの袋は【古代の袋】。


袋の中身は空間拡張の特殊魔法がかけられており、上限はあるがある程度の物なら入れられる特別な袋だ。


現代の技術では再現することができない、古代の失われた技術で作られており、数は指で数えられるほどにしか存在しない、とても希少な物だ。

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