絶対に許しません 絶対です 6
「ん?あれはなんです?」
ゴヴェル様が指差す。
そこは何も無いただの山肌。
だが……
「確かに、何かありますね」
「え?ただの壁にしか見えないけど?」
「幻影魔法ですね。ただの壁に見えるように隠蔽しているようです」
「なるほど、特殊魔法か。ということは、特殊魔法を使う魔物がこの辺にいるということか」
特殊魔法
それは、属性魔法とは異なり、様々な種類が存在する。
暗闇を照らしたり、閉じた鍵を開けたり、幻を見せたり、記憶を覗いたり。
属性魔法には実体があるが、特殊魔法には実体がないのが特徴だ。
なので、これで身体に攻撃することはできない。
しかし、精神には影響を及ぼすので注意するように。
当然、無属性魔法みたいに誰にでも使えるものではなく、基本的には使えない人が多い、とても珍しい魔法だとか。
あ、安心してください。
もちろん私に特殊魔法は使えませんよ。
「ヴィサス様。あれ解除できたりします?」
「そうですね…やってみましょう」
ヴィサス様はあらゆる特殊魔法を使うことができ、その中には幻影魔法もあります。
使えるということは、消すこともできるということです。
さすが、ヴィサス様ですね。
「んー……あ、できました!」
しばらくすると、壁が消えて中から洞窟が出てきた。
上手く解除できたみたいだ。
中は結構深いのか、暗くてよく見えなくなっている。
「どうします?これ」
「そうだな…」
私の言葉に、頭に手を当てて悩むレオン殿下。
「殿下。俺は大人しく帰ったほうがいいと思う。俺らだけで勝手に中に入るのは危険だ」
「シルトと意見が合うのは癪ですが、私も同意見です。ここは大人たちに任せるのが得策かと」
「そこは素直に反対って言えよ、メアリー嬢」
「だって、ムカつくのは本当のことですし」
そう言って、私はプイッと顔をそらす。
「ムカつくかどうかは置いておいて、確かにこれは報告したほうが良さそうだな」
「え…もしかして殿下も俺のこと嫌い?」
私とシルトの言葉に、レオン殿下も一旦引き返すことに決めたようだ。
そして、シルトは何故かショックを受けているみたいだ。
「さて、それじゃあ帰るか__」
「っ!?レオン殿下!動かないでください!」
背中側から嫌な気配を感じ、後ろを振り返ると火の玉がレオン殿下に迫っているのを見つけた。
私は、レオン殿下と火の玉の間に割って入り、透明の壁を作り出して火の玉を受け止めた。
火の玉は透明の壁に当たると弾かれ、霧散してしまう。




