精霊と伝説とアホな鳥 45
「とりあえず、簡単に箇条書きにでもしていきますか」
今日あった出来事。
・いろいろあってシャーユ王国を抜け、貴族の立場もなくなってただのメアリーになった。
・【ケイオス大森林】の未到達地域で拠点を作った。
・ただの伝説だと思われていた妖精の存在を確認した。しかも妖精王。
全員で七人いるらしく、その内二人と知り合いになった。
・ルナには大きな秘密があるらしい。
先ほどの妖精王とも関係があるらしいが、詳しく話すと私に何やら不利益があると。
今は話せないが、いつか話してくれるとのこと。
その時を大人しく待つことにする。
・ルナは妹の力を探している。
そして、協力者がいるらしい。
・黄金の果実を食べすぎて、寿命がわけわからんくらい伸びてしまった。
・コカトリス(コケ)に名付けをしてしまい、私から簡単には離れなくなってしまったので世話をしなくてはいけなくなった。
「ふぅ…こんなところですかね…」
こうして書き出したものを見てみると、こんな短い間によくもまあこれだけのことが起きたものだと思う。
しかも、その内の1/3は自身の失敗で起きたことだというのだから悲しいことこの上ない。
次からはもっと慎重になろうと思った。
「他にも、今手元にあるものも書いておきますか」
今、あるもの
・家(ケイオス大森林)
・服
・きれいな水
・黄金の果実(三つ) ← New!
・コケ(コカトリス) ← New!
「………………」
食べ物は今度どうにかして手に入れるとして、水はあるし服も家もある。
これから生きていくのは大変かと思っていたが、結構何とかなるのでは?
本当、ルナ様さまである。
一部変なものも混じっているが、まあ些細なことだろう。
「そういえば一つ不思議に思っていることがあるのですが、何故ルナは魔王なんてやっていたんですか?」
ふと浮かんだ疑問を尋ねる。
今まで一緒にいて正直ルナはただのいい人なのだが、それが何故魔王をするに至ったのかがイマイチ分からない。
『なんだ、そんなことか。それは人間が魔族の地を侵略したからだ。それを取り返すために立ち上がった。そのためには先導する者が必要だった。まあ、そういうことだ』
「人間が侵略……」
私が知っている歴史とは違う。
シャーユ王国では、魔族から侵略してきた。
それに立ち向かうため、人間が正義の旗の下立ち上がったとされている。
これもまた、捻じ曲げられた歴史の一つなのだろう。
それにしても、人間の方から手を出すとは……しかも、それを魔族の責任にすり替え、あたかも自分たち人間が正義であるかのように歴史を書き換える。
傲慢な既得権益者が考えそうなことだ。
私が言うのもなんだが、人間はやはり愚かだということか。




