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公爵令嬢は、元魔王です?  作者: ゆー
本編 17
302/492

精霊と伝説とアホな鳥 35

「………………」


『………………』


「私、やっちまいました…かね?」


『そうだな。やっちまったな……』



今、目の前にはリンゴの形をした黄金の果実が()()()()ある。


いや、()()()()()()と言ったほうがいいかもしれない。



「まさか私があんなに夢中になるなんて……」



今さら後悔してももう遅い。


あれだけあった黄金の果実たちが、たった三つだけになってしまった。



『無理もない。現に妾も一緒になって楽しんでいた。あの果実には食べたものを虜にする魔力でもあるのかもな。だから仕方ないさ』


「…なんの慰めにもなっていませんよ、それ」


『フフ、そうかもな…』



食べてしまったのは仕方ない。


それよりも、今はもっと気になることがある。



「ルナ……私今、ちゃんと老化してます…よね…?」



別名、不老の果実と呼ばれる実をあれだけ食べたのだ。


ただの伝説とは言え、もし効果が本物なら、私は今歳をとらなくなっているはず。



『……………………』


「……………………」



ルナは何もしゃべらない。

今、身体のことを調べてくれているのだろうか。


不穏な空気が辺りを漂う。


沈黙が辺りを支配し、心がざわつく。


もしかしたら…という不安が、私の精神を(むしば)んでいく。


頬に冷や汗が流れた。




そして、長い時間をかけてついにルナが私に答えを教えてくれた。



『……すまない。今のメアリーの身体は、完全に()()()()()()()()()()()()。あの伝説は、どうやら本物だったようだ』



私が知る限り、最悪の答えだった。



「え……細胞の劣化とはどういう…?というか、私は今不老になってしまったんですか…?」



またもや知らない単語が出てきたが、それよりもルナの反応が気になる。


私は、本当に不老になってしまったのだろうか。



『厳密に言えば不老ではない。黄金の果実の効果が切れれば、また老化が始まるだろう』


「……効果が、切れれば……」



あれだけ食べたのだ。


いくつ食べたのかは分からないが、先ほど見た時は最低でも五十個以上はあったように見える。



「……低く見積もっても、五百年以上はありそうですね……」



いくら果実といえど、普段の私なら三個も食べればお腹いっぱいになっていたはずだ。


それなのに、この黄金の果実に限って言えば、際限なく食べれてしまう。


もしかしたら、黄金の果実にはそういう効果もあるのかもしれない。


今となっては確かめようもないが。

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