絶対に許しません 絶対です 4
「というか、シルト様が先程おっしゃってましたが、空中を蹴る?とは一体なんです?」
「え?あー、そんなことも言ってましたね」
シルトが聞いていた気もするような?
あいつのことになると適当になっちゃうなー。
まあ、いっか。
「おい、本気で忘れてたろ」
「黙りなさい」
「はい、すみません」
「……えーっと、聞いてもよろしいんでしょうか?」
おっと、ヴィサス様が少し怯えていらっしゃるぞ?
声にドスをきかせすぎたかな?
というか、隠さなくていいと思ったら解放感でどんどん遠慮がなくなっちゃう。
おかげで口が悪くなってる気がするし、特にシルトのやつには辛辣な気もするが、まあ相手はあのシルトだから問題はないだろう。うん。
「って、ああ、空中歩行ですね?いいですよ。お教えします」
私は、空中歩行について皆さんに伝授した。
「なるほど。つまり、魔力をそのまま放出して空中に固定し、それを足場にする、ということですね?」
「そういうことです。さすがヴィサス様。理解が早くて素晴らしいです」
「でも、何の属性変換もしてない純粋な魔力だと、外気に触れた瞬間霧散しないか?」
「何もせずただ放出すればそうなるのは当たり前です。何を言ってるんですか?」
「…なんか俺に対してだけ当たりが強くないか?」
「いいから、話を聞いてください」
「…釈然としないが、教えてくれるなら我慢するか…」
シルトがブツブツ言ってるが、今回は無視する。
「これは無属性魔法による身体強化の応用です。身体強化を行う際、通常は全身に魔力を行き渡らせ、強化したい箇所に留めますが、空中歩行ではそれを外気にまで拡張します。当然、そのままでは魔力が霧散してしまうので、身体強化の応用で空中に留めれば__」
そう言って、私は空中の何も無い場所に踏み出す。
「このように、足場を作ることもできます」
まるで階段を登るように、一歩二歩と空中を歩いてみせる。
「す、すごい…!空中を歩いています!」
「作った足場は数秒で霧散して消えてしまいますが、戦闘で使うならそれで十分でしょう?」
スタッ、と地面に降り立つ。
「確かに、これができれば戦闘方法が大きく変わる…革命が起きるぞ…!」
レオン殿下も、随分と感心してくれた様子。
私は昔、興味本位でやったらできただけで、皆さんは試してみたりとかしなかったのかな?




