絶対に許しません 絶対です 3
「あー、えーっと…」
「……ふふっ、なーんて。実は知ってるんです、私」
そう言って、私に向かって舌を出すヴィサス様。
可愛い。
…ん?今なんて?
「私、風の魔法も使えるんですよ?なので、フロー様が使う魔法も使えるわけです」
エッヘンと、ドヤ顔のヴィサス様。
やっぱり可愛い。
って、フロー様の魔法?
あの、音を集めて特定の場所に届ける魔法のこと?
ということは、シルトとの会話を聞かれていた?
「あ、あー……」
……なんか、もういいや。
バレてるなら、もう擬態しなくていいよね。
「あー、あの、なんかすいません」
「いえいえ。私の方こそ驚かせて申し訳ありません。これからは本来のメアリー様と仲良くさせてくださいね!」
満面の笑顔のヴィサス様。
なんて眩しいんだ!
「あ、あの、よろしくお願いします」
「はい!よろしくお願いします!」
ヴィサス様が私に向かって手を差し出してくる。
それを私は、手を出しては引っ込めるを繰り返しながら、ゆっくり近づけていく。
すると、ヴィサス様の方から私の手を取ってきた。
そして、お互いに何かをわかり合えたかのように笑顔になった。
「……え、これどういうことですか?」
「スィー嬢。ここは空気を読むんだ。せっかくの感動シーンを台無しにしないように。俺だって質問に答えてもらってないんだから」
……やっぱりシルトの野郎はぶっ飛ばそう。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
「つまり、メアリー様は猫を被っていた、ということですか?」
「まあ、端的に言うとそういうことです。貴族に擬態していれば何かと都合がいいですからね」
「なるほど。なんとなくわかる気がします。社交界は足の引っ張り合いですし、弱みは見せられませんもんね」
「まあ、そんなところです」
「いや、こいつの場合ただ面倒事を避けたかっただけじゃ__」
「ぶっ飛ばしますよ。割と本気で」
「……申し訳ありませんでした…」
綺麗な土下座を披露するシルト。
それほど恐ろしいのだろうか。
「…まあ、いいでしょう。今回は皆さんの目もあるので許します。皆さんに感謝してください」
「皆さん!ありがとう!」
「…なんだこれ?」
あれから、唯一私の本性を知らなかったスィー様に事情を説明しながら森の入口に帰っているところです。




