精霊と伝説とアホな鳥 20
「…………」
「……それも時が来たら、というやつですか?」
「うむ……」
気まずそうに返事をするルナ。
この、時が来たら、というやつは果たして後何回あるのやら。
私はさすがに呆れて、小さくため息をつく。
「はぁ…はいはい、分かりましたよ。もう聞きません」
そう言って、私は椅子から立ち上がった。
「聞きたいことは聞けました。それに、これ以上聞いても話せることはもうなさそうです。それなら、いっそ切り替えてリフレッシュしましょう」
「リ、リフレッシュ?何をするのだ?」
「それはですね……あ、ガイアとホムラも良かったらついてきて下さい」
「承知しました」
「うん!ホムラもついてく!」
私はルナからの疑問に答える前に、ガイアとホムラを誘ってスタスタとログハウスの入口へと歩いていった。
ガイアとホムラは、私が誘うと椅子から立ち上がって素直に私についてくる。
「外に行くのか?」
急に外に行こうとする私を見て、ルナは困惑した様子で私に聞いてくる。
「はい。ずっと座りっぱなしで疲れちゃいましたし、少し外の空気を吸いたいな、と。それとルナにお願いがあるのですが__」
「あ、ああ!何でも言ってくれ!妾に出来ることなら何でもやろう!」
今までの話で罪悪感が募っていたのか、私がお願いしようとすると食い気味に反応する。
その勢いに、思わず私は面食らってしまう。
「お、おお…そうですか?ありがとうございます」
「それくらい気にするな!して、一体何をしてほしいんだ?」
「ああ、それはですね、ルナの魔法、もっと見たいなって思いまして」
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
「おぉー」
「どうだ?改めて空を飛んでみた感想は?」
今、私はルナの重力魔法で空を飛んでいます。
今まではジャンプとか高いところに登るとかしないと見れなかった景色が目の前に…!
王城からこちらに来るときも飛んではいましたが、あの時は景色を見る余裕はありませんでしたからね。
思ったより感動です。
「空飛ぶって気持ちいいよね!ウチもたまに気分転換に飛んだりするから気持ち分かるよ!」
その私の隣を、ホムラが並走しながら飛んでいる。
ホムラは両手両足の先がまるで炎が噴射しているかのように燃えていて、その力で空を飛んでいるみたいだった。
ちなみに、ガイアはログハウスの入口付近で私たちのことを微笑ましい表情で見守ってくれている。




