精霊と伝説とアホな鳥 13
「……本当によろしいので?差し出がましいことを申し上げますが、一度許してしまいますとこの子は際限なく甘えてしまいますよ?」
私たちのやり取りを見て、ガイアは心配そうに私に忠告してくれる。
「いいんです。それに、こんな可愛い子に甘えてもらえるなら、私は嬉しいですから」
私の答えにガイアは考えるように右手を顎の下に持っていくと、少しして私の方に向き直った。
「……ありがとうございます。メアリー様がよろしいのなら、是非ホムラを可愛がって頂けると幸いです」
「もちろん。言われなくても可愛がるつもりです」
「重ねてありがとうございます。やはりメアリー様は偉大なお方。我が主と一緒におられる理由が分かりました」
『おい、それは一体どういう意味だ』
ガイアの意味深な言葉に、内側にいるルナが反応する。
……ルナよ。まさか自分がまともだと思っているのですか?
元魔王ゆえか、周りと感覚がズレていることも多々ありますし、結構抜けていることもありますよ?
そもそも、このテレパシーは私にしか聞こえませんので、そのルナの言葉もガイアには聞こえていませんし。
『……大丈夫だよな?妾は普通だよな?』
私の内心を察したのか、不安そうになるルナ。
まあ、そういう抜けているところが、ある意味可愛いんですけどね。
「……それと、ずっと気になっていたのですが、ルナと貴方たちお二人はどのような関係なのですか?」
自己紹介も終わり、一段落したところで一番気になっていることを聞く。
先ほどからルナのことを主、主と何度も呼んでいるのだ。
気にならない訳が無い。
「我が主と私たちは__」
「待て。そこからは妾が話そう」
そのとき、私の口が勝手に動き出す。
テレパシーが使える前と同じで、ルナが裏で私の口を動かしているようだ。
ルナが出てきたことに気づいたのだろう。
ガイアとホムラは控えるように静かに礼をする。
「話を遮ってすまない。だが、そなたたちとのことは妾自身が話さなければいけない気がしたのだ」
「承知しました。我が主の身心のままに」
礼をしたまま、静かに答えるガイア。
ホムラも、何も言わず礼をしたまま動かない。
この様子を見るだけでも、この二人とルナがただならぬ関係であることは明白だ。
もしかして、本当に主人と従者の関係なのだろうか?
それも魔王時代からの?




