精霊と伝説とアホな鳥 7
『冷凍した果物は美味しいぞ。妾は夏によく食べたものだ』
自分がどれだけすごいことをやっているのか自覚がないのか、のんきにそんなことを言っているルナ。
そもそも、魔法を永久に使い続けるなど物理的に不可能なはずなのに、どうやって実現しているというのか。
それもこれも、魔王という規格外な存在だから可能だとでもいうのか。
『さて、冷暗所については説明したな。最後は妾が一番力を入れた場所だ』
最後。
ログハウスの入口から見て正面の一番奥にある扉。
私はここまで驚いてばかりだが、次は何が待ち受けているのか。
ドキドキしながら扉を開ける。
すると、そこには一つの完成された部屋が存在した。
柔らかそうなベッド、机、テーブルに椅子、クローゼット、さらに部屋の中に【浴室・トイレ】と書かれた扉まである。
まさに至れり尽くせりで、ここで生活して下さいと言わんばかりの光景だった。
まるでここは__
『どうだ?妾が作った客間は?完全にここで生活が完結出来るようにしたのだ。まあ、さすがにキッチンや冷暗所までは作らなかったがな』
自信満々のルナ。
確かに、ここは客間としては完璧だ。
その辺の高級宿にも引けを取らない完成度と言っても過言ではないだろう。
普通ならこれで十分過ぎるくらいだが、私たちには一つ、問題がある。
「……ルナ…」
『どうした?感動しすぎて言葉も出ないか?』
「いや、確かに凄いんですが……ちょっと…」
『どうした。言いたいことがあるならはっきり言うがいい』
「いえ……私たちは隠れてひっそりと暮らすためにここに来たのではありませんでしたか…?そんな私たちにお客様など来ないのでは…?」
『あ…………』
ログハウスを作るのに夢中で、すっかり忘れていた様子。
私は、小さなため息をついた。
「はぁ…ルナ、まさか失念していたのですか?」
『い、いやそんなことはない!もしかしたら、妾たちにもお客様の一人や二人来るかもしれないだろう!?』
「それって誰のことです?」
『えっと……キングゴブリン…とか?』
「………………」
『……だ、駄目か…?』
あんなデカブツ。あの部屋に入るわけない。
こうして、無事あの客間は物置になることが決定しました。
今現在は用途がないから仕方ないね!




