絶対に許しません 絶対です
「さて、結構魔物から素材も入手できましたし、入口に戻りましょうか」
現在、ホルンピッグを狩った数は十匹になっている。
そろそろ角を持つのも辛くなってきたので、ゴヴェル様の提案で一旦入口に戻ることにした。
「帰りは任せてください。行きは何もしませんでしたから、帰りくらいは仕事させてください」
ちょっと何もしなさすぎて罪悪感が酷いので、なんでもいいから何かさせてほしい。
「そうだな。俺も何もしてないから、メアリー嬢と一緒に__」
「いえ、レオン殿下は一番疲れているヴィサス様の隣にいてあげてください」
「え?いや、俺も一緒に__」
「いてあげてください」
「……わかった。そこまで言うなら…」
しぶしぶといった様子で、ヴィサス様の隣に行くレオン殿下。
さすがに私の方に居すぎたので、ヴィサス様の機嫌が大変よろしくない。
ここらで二人の時間を作って挽回しておかねば、信頼を損ねるというもの。
幸い、ホルンピッグ程度なら私一人でどうとでもなる。
二人の時間は作りました。
ヴィサス様、ファイトです!
「…お、早速出ましたね」
帰りだして数分もしない内に一匹のホルンピッグが現れた。
こちらのことを威嚇しながら後ろ足で地面を蹴り上げている。
今にも突進してきそうな雰囲気だ。
「まあ、その前にヤればいいんですけど」
一瞬でホルンピッグとの距離を詰める。
ホルンピッグは私の動きが見えなかったのか、驚きで目を白黒させていた。
そして私は、混乱して動けないでいるホルンピッグの眉間に鋭い右ストレートを叩き込む。
ホルンピッグは甲高い悲鳴を上げながら地面をバウンドするように吹っ飛んでいき、木にぶつかって沈黙した。
「これで終わりですね。それでは参りましょう」
何事もなかったかのように再び先頭を歩く私。
何故か、レオン殿下以外の四人が驚いた表情でこちらを見ていた。
何故だろう?




