終幕 9
「なら止める理由はないな。今すぐ【アマテラス】を落として__」
『だから止めなさい』
妾が再び【アマテラス】を落とそうとすると、間髪入れずに止めてくるメアリー。
「なんだ!何故止める!?」
『落ち着いてください。私は、やり過ぎと言っただけです』
「……どういうことだ?」
『私は、やり返すことが悪いこととは言っていません。人類全てにやり返すのがやり過ぎなだけと言っているんです。やり方なら、他にもいっぱいあるでしょう?』
「そんなこと妾の知ったことか!何故妾が人間に配慮しなければならん!あいつらは妾の大切なものに手を出した!だから滅ぼす!それだけ__」
『……ルナ』
「っ!」
メアリーから悲痛な気持ちが流れ込んでくる。
思わず言葉に詰まる。
『ルナの言いたいことは分かります。なんせ、目の前で見ていたのですから。この学園に入学する前の私なら、今のルナに賛同していたでしょう。しかし、私には大切な人たちができました。レオン殿下、ヴィサス様、イーリス……魔法がまともに使えず一人ぼっちだと思っていた私のそばに居てくれました。誰とも相容れることなど出来ないと諦めていた私に居場所をくれたんです。私は、この人たちを失いたくありません。この気持ち、貴方なら分かるでしょう?』
「それは…!だが妾は…!」
『当然、貴方だけが失うのは不公平だというのも分かります。なので、一回だけ見逃してくれませんか?そうすれば、私はこの国を捨てて貴方についていきます。どのみち、こんなことをしでかしておいて、この国に居座ることなど出来ません』
「……っ!」
『もちろん、二回目は見逃さなくて結構です。それは……私の大切な人も同様です。もし、再び一線を越えるようなら、そのときはルナの好きにして構いません』
「……………………」
『私は、公爵令嬢の身分を捨て、ルナ、貴方についていきます。その代わり、一度だけ見逃してください。どうかよろしくお願いします』
メアリーから切実な想いが伝わってくる。
たった、一回だけ。
そのために今の身分も、その大切な人とやらとの繋がりも、何もかも捨てさると言う。
普段なら、他人に頭を下げるようなことなど絶対にしないあのメアリーがここまで……
「…………あぁもう!分かった分かった!」
『っ!それなら…!』
「一回だけだからな。もしまた一線を越えれば容赦しない。それでいいな?」
『はい。それで十分です。ありがとうございます…』
あれだけの想いをぶつけられて、断れるわけないじゃないか。
長い間一緒にいすぎて、情が移ってしまったらしい。
あぁ、妾は何と甘いことか…
すまない…キュルトス、イーゴ…
復讐はもう少し先になりそうだ…




