終幕 7
「ぐ…っ!ほら…!どうしたの!?かかってきなさいよ…!」
ボロボロの身体で、誰が見ても分かる虚勢を張る聖女。
膝はガクガクと揺れており、立っているのもやっとの状態で、今にも倒れてしまいそうだ。
それでも、自身の意地だけで無理矢理立っている。
「……そうか、お前の覚悟は分かった。妾にも時間がないようだし、そろそろ終わりにしよう」
先ほどの重力反転をメアリーからの妨害アリで無理矢理発動したため、身体の中の魔力が流れる回路のようなところが結構ダメージを受けている。
空中に浮かぶ程度の簡単な魔法なら使えるが、重力反転と同じくらい高度で複雑な魔法を使おうとすると、そんな簡単な魔法すら使えなくなってしまうくらいダメージを受けるかもしれない。
次で終わりにする。
「……【アマテラス】……」
妾は人差し指を上空に向ける。
もちろん、その先は空に浮かぶ小さな太陽。
「【アマテラス】をもって終わりとする。人類諸共、仲良く消え去るがいい」
妾は、無慈悲に人差し指を地面へと向けた。
空が叫び声を上げる。
とてつもない轟音を響かせながら、ついに空を覆いつくす小さな太陽が人類を滅ぼさんと落下を始めた。
「く…っ!でもアタシは絶対に諦めない!みんな!力を貸して!」
ボロボロの身体が再び真っ白な光のオーラに包まれる。
「この世を創造せし太陽の神、名はソル。聖女の名において、その大いなる力を我に貸し与えたまえ…我が身に宿りし数多の力。今一つとなりて全てを貫け!顕現せよ!【神の光芒】!」
始めに妾の小さな【アマテラス】を壊した、あの光線を放つ魔法だ。
ただ、あの時とは密度が比べ物にならないくらい大きく、その分威力も上がっている。
「ぐっ……ふぅっ!うぅ…っ!」
しかし、肝心の光線を撃つ聖女の身体がその威力に耐えられない。
全身から血がダラダラと流れ出す。
そして…
「う…っ!あぁ……っ!」
シュウゥゥゥゥ___
光線がゆっくりと小さくなっていき、やがて消えてしまった。
「ゴホッ…!ダメ……消えちゃ…っ!ガハッ…!」
口から血を吐き出す聖女。
もう、すでに身体は限界を超えている。
もはや、魔法を放つどころか歩くことさえままならないだろう。




