終幕 2
「……やらせないっ!!」
ヒュンッ!と、妾の隣を何かが高速で通り過ぎる。
後ろを振り返ると、妾が作り出したいくつもの【アマテラス】が次々に壊されていた。
「……ほぅ、聖女か」
小さな【アマテラス】を全て砕くと、高速で動いていたものは動きを止めた。
そこにいたのは、先ほど例の魔法で妾の【アマテラス】の一つを砕いた、現代の聖女だった。
背中からは真っ白な羽の翼を生やし、頭上には光の輪が浮いている。
その身体からは先ほどとは比べ物にならないくらいの濃密な魔力を感じる。
「…アイツか。まあ、世界を作り直すとか言ったからな。さすがに動き出すか」
現代の聖女の異常な魔力は、おそらくアイツが裏から手を引いているのだろう。
アイツ、この世界が壊れることはとにかく嫌がっていたしな。
__ヒュンッ!ガキンッ!
そのとき、いきなり聖女が妾に向かって高速で拳を突き出す。
しかし、妾の少し離れたところで見えない壁にぶつかった。
例の魔力の壁、というやつだ。
「…礼儀のなっていないやつだ。いきなり不意打ちとは…」
「不意打ち?ここは戦場よ。そんなところで不意打ちも卑怯もないわ」
険しい表情で魔力の壁に当たった拳をさらに押し込もうとする聖女。
どうやら、そのまま妾の魔力の壁を突き破ろうとしているようだが……
「ぐっ!ぐぅっ!硬い…っ!」
しかし、妾の魔力の壁には傷一つつかない。
たまらず距離をとる聖女。
「くっ!なんなのよそれ!いくらなんでも硬すぎよ!」
「なんだ?この程度の防御も突破できないのか?妾が知っている聖女は、この程度なら簡単に壊していたぞ?」
そう言うと、挑発されたと思ったのか現代の聖女は顔を赤くしてプルプルと震える。
「今に見てなさい!すぐに倒してやるんだから!」
そう言って、今度は魔法を放ってくる。
先ほどの光線より小さめの、大人一人分くらいの大きさの白い光弾。
しかし、そこに込められている魔力の量は先ほどの光線を遥かに凌駕していた。
さすがに、アイツから強化されただけのことはある…
妾は飛んできた光弾をヒョイッと避ける。
「あ!ズルい!何で避けるのよ!」
「なんで妾がそんなものにわざわざ当たってやる必要があるのだ。お前が言ったのだろう?ここは戦場だ。卑怯も何もないと」
妾が皮肉たっぷりに言い返すと、聖女は顔を赤くした。
「いいわよ…!当てればいいだけの話なんだから!」
顔を赤くして、聖女は高速で動き回りながら光弾を連発してきた。




