レオン殿下は勘違いする 8
「……………………」
炎を放った俺にルナは一瞥だけすると、すぐにイーリス嬢に視線を向ける。
そして、イーリス嬢に向けた手から再びあの巨大な魔力が出現した。
その魔力は、そのままイーリス嬢の白いオーラに向かっていき……
「あ……ああああぁぁぁぁっ!!!」
全て一気に吸収してしまう。
「や、ヤバい!」
「離れろ!巻き込まれるぞ!」
そのおかげで、オーラはさらに巨大化し、光線もそれに応じてさらに巨大化した。
その大きさは、家三軒は軽く包み込めるほどだ。
ビシッ!ビシバシッ!!
空からさらにヒビ割れる音が聞こえる。
亀裂がさらに広がり、その音が響き渡っているのだ。
しかし…
「ああああぁぁぁぁ____」
イーリス嬢の腕や足の表面に亀裂が走り、そこからまるで溢れ出るかのように血が噴き出している。
このままでは持たない…!
ビキッ…………ドゴォォンッ!
そのとき、ついに空の炎の塊が砕け散った。
細かい破片が王城の周りに落ちていく。
よく見ると、空中でさらに粉々になっているようで、周辺の地域には影響はなさそうだ。
やった……やったぞ…!
あの炎の塊を砕くことに成功した!
これで国民たちも死ななくて済む…!
「うおぉぉぉぉっ!!」
「やったぞ!俺たちはやったんだ!」
「聖女様!ありがとうございます!」
兵士たちも大歓喜だ。
中には、飛び上がりながら喜んでいる者もいる。
あれだけの危機的状況を乗り越えたのだ。
凄まじいほどの解放感と達成感が辺りを包み込む。
「はっ!はっ…!んっ……はぁっ!はぁっ!」
イーリス嬢はその場に崩れ落ちた。
そのときにはイーリス嬢を包んでいた真っ白なオーラは消え去っており、全身に広がった亀裂からダラダラと血が流れている。
俺は急いでイーリス嬢のもとに駆け寄った。
その途中、古代の袋からポーションを一つ取り出す。
「よくやった!ほら、ポーションを飲んで身体を癒やすといい!」
荒い呼吸を繰り返すばかりで焦点の合わないイーリス嬢にポーションを飲ませようとポーションの口をイーリス嬢の口元に持っていく。
しかし、意識がはっきりしていないのか、全然飲もうとしてくれない。
「くっ…!どうしたら…!」
「レオン殿下。お貸しください」
そのとき、ヴィサス嬢が後ろからやってきたかと思うと、おもむろに俺が持っていたポーションを手に取る。
そして、何を思ったのか、それを一気に呷った。
「ヴィサス嬢!何を__」
そして、そのまま口に含んだまま、イーリス嬢を抱き寄せたかと思うと、イーリス嬢の口に自身の口を合わせる。
ヴィサス嬢の口からイーリス嬢の口の中へと、ポーションの液体が移動する。
少しして、イーリス嬢の喉が鳴る音が聞こえた。
どうやら、しっかり飲むことが出来たらしい。
ヴィサス嬢は全てのポーションをイーリス嬢に飲ませると、ゆっくりと口を離した。
すると、イーリス嬢とヴィサス嬢の口の間に唾液のアーチがかかる。
その光景に少し淫靡な雰囲気に感じて、ちょっと目を逸らしてしまう。




