レオン殿下は勘違いする 7
「うっ……うわっ……うわぁぁぁぁっ!!!」
「な、なんだ!?」
「みんな離れろ!」
ルナの魔力を吸収して、イーリス嬢の光のオーラがとんでもないくらいに巨大化した。
当然、オーラが巨大化したぶん光線も大きくなり、その大きさは兵士たちが立っていたところまで巻き込むほどである。
急いで巻き込まれないように離れる。
「はぁっ!はぁっ……!うぐっ……!っ!はぁっ!はぁっ……!」
もはやイーリス嬢の焦点が合っていない。
もう、魔力を受け止める器が限界を超えてしまっているのだ。
そのとき…
……ビシッ…!
空からヒビ割れた音が聞こえてくる。
空から落ちてこようとしているあの炎の塊に少しばかりヒビが入っていた。
光線が巨大化したぶん威力も上がり、ついにヒビを入れることに成功したのだ。
このままいけば、もしかしたら壊せるかもしれない。
「せ、聖女様!」
「あと少しです!」
「どうか…どうか…!」
兵士たちもヒビが入ったことに気づき、どんどん希望に満ちていく。
このままイーリス嬢がなんとか耐える事が出来れば、空のアレを打ち砕けるかもしれない。
しかし、それをもたらしたのがルナであることが気がかりだ。
ルナが魔力を渡さなければ、今の状況的におそらく空のアレを打ち砕くことは出来なかっただろう。
……ならば何故?
すると、再びルナがイーリス嬢に向かって手を伸ばした。
え、な、何を…ってまさか!?
「また魔力を渡すつもりか!?」
これ以上魔力を吸収すれば確実に壊れる…!
俺はルナに向かって炎を放つ。
こんなもの、ルナに通用する訳が無いのは分かっているが、今はとにかく魔力を渡させないことが先決だ。
邪魔さえ出来ればいい。
俺が放った炎は、真っ直ぐルナの方に飛んでいく。
「……何故回避しようとしない…?」
ルナは避ける素振りも見せない。
そして、そのまま炎はルナのもとに飛んでいき……
……バシュッ!
ルナの少し手前でいきなり消えてしまった。
まるで、見えない壁でもあるかのようで……
「…まさか、魔力の壁…?」
少し前にメアリーに教えてもらった、魔力を足場にするやつの応用だろう。
純粋な魔力を壁のようにして張り巡らせることで、物理的にも魔法的にも両方に対応した透明な壁を作り出す。
それを簡単に魔力が霧散してしまう空気中でやるのだから、その難易度は計り知れない。
これでは、ルナに攻撃することはおろか、あの場所から動かすことも出来ない。




