秘密の大作戦、開始! 7
「これで、邪魔者はいなくなったってか?」
「邪魔者?いったい何のことでしょう?」
「シルト……」
いちいち突っかかってくるな、こいつ。
もう面倒くさいしぶっ飛ばしてしまおうか…
あ、でもそうしたらいろいろ問題が起きるのか。
なんと生きづらい世の中だ。
「だから誤魔化すなって。いい加減うぜぇんだけど」
「はあ?それはこちらのセリフですが。私はちゃんと答えました。それが貴方の求める答えではなかったとしても、大人しく引くのが紳士では?」
「親友の心配をするのも紳士の務めだろ?」
「はあ、そうですか。それはよかったですね」
腕を組み、そっぽを向く。
「それがお前の本性ってわけか。こんな女だって知ったら、さすがの殿下も幻滅されるだろうよ」
「おー、それは好都合ですね。レオン殿下に伝えといてくれます?あの女は性格最悪だから止めとけって」
「…へっ、可愛くない女。普段は猫かぶりして殿下の気を引いているみたいだが、俺はお前みたいな女認めないからな」
「貴方は話が通じない人ですね。私は王族とは関わりたくないって言ってるでしょう?誰が好き好んであんな勢力争いに巻き込まれなくちゃ__」
「それが本音か。メアリー・フェリシテ」
「…………あ」
思わず口をついて出てしまった。
まさか今までのが誘導尋問だったとは。
こいつ、見た目と言動で脳筋馬鹿かと思っていたが、こんなんでも公爵家の嫡男。
悔しいが、今回はしてやられたみたいだ。
「…おい、なんか失礼なこと考えてないか?」
「いえ、そんなことありません」
「…まあ、いいけどよ。とにかく、お前がなんで殿下に靡かないかはわかった。それと、殿下がお前を引き入れようとする理由もなんとなくな。だが、それでもお前は相応しくない。特に王族の婚約者ともなれば、それなりの能力が求められる。属性魔法が使えないのはどうしてもなぁ」
「だから私は嫌だって何回も言ってるでしょ!なんで私が婚約者になる前提の話をするんです!?」
「おーおー、お前大きな声も出せたんだな。いいのか?見られてるぞ?」
……はっ!またしても…!
こいつと話してると神経が逆なでされるみたいでいちいちムカつく。
ヴィサス様たちが不安そうな表情で見ていたので、笑顔で手を振って誤魔化しておいた。
「……私、貴方のこと嫌いです」
「そうかい。俺はそこまで嫌いじゃないけどな」
「もういいですから!あっち行ってください!」
シッシッ、と追い払う。
「あー、嫌われちまったな。ゴヴェル、行こうぜ」
「シルト、何故貴方はもう少し気を使えないのですか…」
「いいじゃねぇか。これで本音も聞けたし、殿下への手土産にはなっただろ?」
「…はぁ……」
全然気にしてない様子で、笑いながらレオン殿下のもとに戻るシルト。
呆れて右手で顔を覆いながらついて行くゴヴェル様。
え?シルト様じゃないのかって?
あんなやつに様なんていりませんよ。
呼び捨てで十分です。




