レオン殿下は望みをかける 2
「レオン殿下!中は危険です!」
王城の警備兵が引き止めてくる。
「止めるな!早く行かなければ間に合わなくなる!」
「しかし…!もし崩落に巻き込まれでもしたら…!」
「問答は無用だ!今すぐ中にはい__」
引き止める警備兵を振り切り、王城の中に入ろうと駆け出す。
しかしその瞬間_
「__外に出られましたよ、我が君」
「ああ!これで安心だな!」
逆に王城の中から二人の人影が出てきた。
人影の内の一人は俺がよく知る相手。
セルパン・ソル・シャーユ。
俺の兄上だった。
しかしもう一人が分からない。
全身黒いローブで包まれており、頭も包まれているのでその表情すらも分からない。
一体誰なんだ…?
「お、なんだ。誰かと思えばレオンじゃないか。どうしたんだ?こんなところで」
黒いローブの男を訝しげな目で見ていると、兄上が不思議そうな表情で俺に話しかけてくる。
その瞬間、報告にあった兄上の所業が頭をよぎり、この状況にも関わらず呑気な兄上に腹が立った。
そのおかげか、ローブの男から意識がそれる。
俺はイライラしながら呑気に話しかけてきた兄上に向き直った。
「兄上!どうしたじゃない!一体なんてことをしてくれたんだ!」
「何を怒っているんだ?僕は命からがらやっとの思いで逃げ出してきたんだぞ?少しは心配の言葉があってもいいんじゃないか?」
「何を馬鹿なことを…!って、こんな話をしている場合ではない!今すぐ行かなければ!」
兄上に気を取られている場合ではない。
今は急いでいるんだった。
兄上を通り越して、王城の中に入ろうとする。
「あ、おい!レオン!」
そのとき、通り過ぎようとした俺を兄上が呼び止める。
「兄上、俺は忙しいんだ。話は後にしてくれないか?」
そんな兄上に構うことなく、そのまま王城に入ろうとする。
が、そのとき__
「__あ、あの二匹との繋がりが切れた。大金を払って買ってやったというのに、役立たずめ……」
後ろから、聞こえてはならない言葉が聞こえた気がした。
……え?今なんて言った?
「兄上…今なんて…?」
「ん?なんだいきなり」
「いいから。今なんて言った?」
「ちょ、ちょっと怖いぞレオン?」
俺は急いでいることも忘れて兄上に迫る。
兄上も俺のあまりの豹変した態度に戸惑いが隠せない様子。
「いいから!例の二匹がどうなったのか聞いてるんだよ!」
「例の…?ああ、レオン知ってたのか。一応お忍びで買ったんだけどな。まあいいか。その例の二匹との繋がりが切れたって言ったんだよ。それがどうかしたか?」
「…繋がりが切れるということは、その二匹は……」
「死んだ…だろうな。まあ始めから敵うと思ってなかったからな。僕が逃げ出せるほど時間が稼げればよかったし、そう考えれば役に立ったと言えるかな」
「ということはつまり…もうすでに……」
ルナは二匹に出会い、そして始末してしまったということだ。
隷属の首輪から解放する方法は存在しない。
よって、殺すしか方法がなかったはず。
それが意味するところは一つしかない。




