秘密の大作戦、開始! 6
「そっちは無色の公爵令嬢だったか?レオン殿下から話は聞いてるぞー」
「こら!シルト!失礼ですよ。ちゃんとメアリー嬢と呼びなさい!」
あの礼儀正しいゴヴェル様が呼び捨て。
叱っている様子からも普段からこんな感じなのでしょう。
かなり仲がいいみたいです。
それにしても、シルト様がおっしゃったレオン殿下からお話を聞いているという言葉。
やはり、二人はレオン殿下からの刺客のようですね。
こちらがヴィサス様とレオン殿下をくっつけようとしているのと同じように、レオン殿下もこの機会に仲間を引き連れて距離を縮めようとしているようです。
いい加減、私のことは諦めてほしいものですが…
というか、私見た目以外にいいところなんてあります?
無色ですし、愛想も良くないですし、いいところなんてこのナイスバディしかないと思うんですけど。
「まどろっこしいのは嫌いなんでね。単刀直入に聞く。なんで殿下を拒む?王族と繋がりができればお前にも利益はあるはずだ」
「おい!シルト!」
未だにスィー様も近くに居られるのに、言ったらダメそうな事を平気で口にするシルト様。
スィー様は驚きで固まってしまっている。
ゴヴェル様の反応を見るにシルト様の独断のようだが…
ヴィサス様は私たちの雰囲気の変化に首を傾げている。
幸いにも、遠くて聞こえなかったらしい。
「…何故?それは散々ご説明したと思います。シルト様も先ほどおっしゃっていた通り、私は無色です。公爵家でも貴族の中でも、さらには学校の中でさえ居場所がない私を受け入れれば、必ず殿下に悪影響を及ぼします。なので、身の程を弁え、失礼ながらお断りさせて頂いている。と、そういうことです。納得して頂けましたか?」
「いーや、その理屈はおかしい。お前の今の状況なら、王族の伝手を利用してみんなに認めてもらおうとむしろ殿下に取り入るのが普通だろう。いい加減、誤魔化すのは止めたらどうだ?」
「…………」
シルト様の指摘に、私は何も言わずに目を細める。
そんな私を、シルト様は真剣な目で睨みつけている。
ゴヴェル様も、私とシルト様の真剣な雰囲気に口を挟めない様子。
「…スィー様。少しヴィサス様のお側についていてくれませんか?私たちを見てヴィサス様が不安がられている様子なので、大丈夫だとお伝え下さい」
「は、はい…お気をつけて…」
ヴィサス様は私たちの重苦しい雰囲気を感じ取り、一人オロオロとされていました。(可愛い)
割り込むべきか、そうしないべきかで悩んでいるのでしょう。
スィー様を送り出しましたし、ヴィサス様の方はこれで大丈夫だと思います。
それに、私たちの剣呑な雰囲気に怯えられていたので、ちょうど良かったです。




