約束 4
「……?どうした?やっぱりまだ怒っているのか…?」
恐る恐る様子をうかがいながら、イーゴとキュルトスのそばに近寄っていく。
しかし、手が届く距離に近づいても何も反応がない。
目も虚ろで視線も定まっていない様子。
「どうした?何かあったのか?」
目の前で手をフリフリと振る。
脇腹をつついてみる。
下から、真横から顔をのぞいてみる。
やっぱり反応がない。
「おかしい……全く反応がないというのは一体__」
そのとき、二人の首についている大きな首輪が目に入った。
…そういえば、昔こんなものつけていたっけ…?
そう思った瞬間、いきなり二人の目が青白く光り、俯き気味だった頭が急に立ち上がる。
妾は嫌な予感がして、その場から飛び退くように離れた。
すると、二人は急に右手を上げると、妾が先ほどまでいた場所に炎と風の塊をそれぞれ放ってきた。
それらは床に命中し、大きな音を立てて床に穴を空ける。
「な、何故だ!何故妾を攻撃する!?」
なおも、こちらを追いかけるように手を向けてくるイーゴとキュルトス。
妾は再度避ける。
再び二人の手に魔力が集まり、炎と風を放ってきた。
「どういうことだ…?妾のことを忘れてしまったのか…?」
ただただ、妾のことを狙って魔法を撃ってくる。
なんの工夫もされてない、ただ魔法を放つだけ。
動きも単純に妾を追いかけるだけで、まるで意思が感じられない。
まさか……
「くっ…!操られているというのか…!」
妾の言葉に反応せず、ただ攻撃を繰り返すだけ。
これは何らかの方法で操られているとみていいだろう。
しかし、この二人を操るとは一体どうやったのだろうか?
その辺の魔族よりも余程強いはずのこの二人をここまで支配下におくなど、生半可な方法ではとてもじゃないが不可能なはず。
まあ、今は方法はどうでもいい。
「……妾の大切な同胞にこんなことをして腹が立ってしょうがないが、まずは解除するのが先だ」
二人を操っている方法を探し出し、解除する。
今はそれが先決だ。