約束 3
「おお!久しぶりだな!イーゴ!キュルトス!」
扉が開いて、そこには二人の人影が立っていた。
向かって左側に立っているのは、少し見上げるくらい大きな石像だった。
背中に大きな翼が生えていて、筋骨隆々の見た目に手と足の爪が鋭く尖っている。
耳も尖っていて、目はツリ目で頭には二本の大きな角が生えている。
そして、首には大きな首輪が引っかかっている。
その姿は、伝承にある【ガーゴイル】の姿そのものだった。
妾が【イーゴ】と呼んだ方で、昔はとても頼りにさせてもらっていた。
右側に立っていたのは、少し背が小さな可愛らしい女の子だった。
こちらは小さな翼が背中から生えていて、小さな腕にむっちりとした女の子らしい足、成長途中の少しだけ膨らんだ胸、それにこれまたむっちりしたお尻から生えた、先がハート型になっている尻尾が実に可憐だ。
だが、幼い見た目に反して服装はものすごく過激。
黒の紐のような服で、胸の先や股の大事な部分だけを隠しているボンテージ風の、服と言えるか分からないような衣装を身にまとっている。
足はむっちりとした肉感のある太ももを強調するように、密着感の強い黒いニーハイソックスに黒いショートブーツを履いている。
ニーハイソックスの縁に締め付けで太ももが乗っかっている様は、幼い見た目に反して大人の色気を感じる。
同じように、二の腕まで隠れるように黒いアームカバーをつけていて、その縁には可愛らしいレースが施されている。
顔は非常に整っていて、小さな二本の角にピンク色の瞳をしたタレ目、同じくピンク色の肩まである巻き髪、薄い色素の可愛い唇は、おっとりとした癒しの雰囲気を醸し出す反面、滲み出す色気は男を狂わせ、惑わせること間違いない。
そして、こちらの首にもガーゴイルと同じ大きな首輪が引っかかっている。
その姿は、正に【サキュバス】であった。
名前は【キュルトス】。
名前からすでに可愛らしさが溢れている。
二人共、妾の大切な同胞だ。
「すまない、何も言わずに急にいなくなってしまって。そなたたちを守るために必要だったのだ。妾が死ぬと分かればそなたたちは必ず止めに来る。そうなれば勇者との戦いに巻き込まれてしまう。そうであろう?」
二人は扉を開けたときの姿のまま、少し俯いてその場に立っているだけで動こうとも話そうともしない。
それを妾は勝手にいなくなったことを怒っているのだと思い、いろいろと言い訳を並べる。
しかし、それでも二人はうんともすんとも言わない。
妾も、さすがに何かおかしいなと首をかしげた。