約束 2
「……よし、メアリーも大人しくなったな」
思惑通り、あの男に何かしようとしなければメアリーも大人しくなるようだ。
薬の効果を抜かなければ、この先もこんな面倒なことが続く。
早めに薬を抜かなければ。
「惚れ薬か……材料が分からなければどうしようもないな…」
解毒薬を作ろうにも、元の薬が何なのか分からなければ作りようがない。
メアリーの意思が薬を上回れば、もしかしたらがあるだろうが……
「……む、そろそろ来るか」
懐かしい魔力がだいぶ近づいている。
もうすぐ到着しそうだ。
「……そうだな。せっかく懐かしい二人に会えるんだ。こんな殺風景なところじゃ申し訳ないな…」
自身の雷で周りは荒れに荒れている。
椅子は吹き飛び、壁は破壊され、床には穴が空いている。
これでは、逢瀬を楽しむには少し不適当だろう。
「…軽く直しておくか」
妾は両手を広げる。
そして、魔力を部屋全体に妾の魔力を流し込み、満遍なく満たした。
そこからは劇的だった。
部屋全体が少しずつ揺れ出す。
すると、床に空いていた穴がみるみる塞がっていき、破壊されていた壁が元通りに修復され、吹き飛ばされていたテーブルやイスは、まるで空を飛ぶように元あった位置に戻る。
もちろん、傷や壊れていたところは全て直っている。
「よし、これで出迎える準備は整ったな」
部屋の外は何もイジってないのでそのままだが、この部屋は最低限形にはなった。
後は、あの二人が来るのを待つばかりだ。
「……さすがにもてなしは出来ないか。まあ、それはまた今度にすればいい。今はただ再開を喜ぼう」
部屋を直している間にすぐそこにまで魔力が迫っている。
もう扉の前にまで来たみたいだ。
「久しぶりだな!我が同胞よ!懐かしいぞ!妾がいない間息災だったか?」
待ちきれず、扉越しに声をかける。
そのとき、扉がゆっくりと開いた。