緑鬼の王、再び 58
「ちゃんと受け取ってもらえて良かったです!」
「そうですね。こればかりは同意します」
何故かホクホク顔の二人。
場所は再び冒険者組合の前。
寮に戻った後、前回の依頼達成した時のお金を持って再び冒険者組合に預けに来たのだ。
その際、イーリスとヴィサス様の二人は、半ば無理矢理と言っていいほど私にお金を押し付けてきた。
先ほど受け取ると言ってしまった手前、仕方なく受け取る。
それを持って冒険者組合の受付に預けに行く私を見て、二人は満足そうに笑っていた。
「……何故お二人はそんなに嬉しそうなのですか?言うなれば、私に貢いだようなものですよ?」
「それでいいんですよ、メアリー様。アタシはメアリー様に貢ぎたかったんです」
「そうです。メアはなんでも自分で背負い込もうとしすぎです。私たちのことも、少しは頼ってください」
どうしてか慈しむような表情をしている二人。
もう…この人たちは貢ぎたいとか頼ってほしいとか…なんだかくすぐったいですね…
二人の好意に少し困ったような顔をする私。
そのとき、メアリーが私の背中に飛びついてきた。
「そんなに悩まなくていいんですよ!私たちが好きでやっていることですから!」
「そうですよ。メアはいつも気にしすぎです。これからは変に悩まず、素直に好意は受け取ってください。だって親友でしょう?」
そう言って、ヴィサス様は私の左腕に腕を絡めてくる。
フフッ…困った人たちですね。
今日はいつもと違って振り払う気になれず、クスッと笑う。
「よーっし!これから依頼達成のお祝いに美味しいもの食べに行きましょ!お金もいっぱいもらいましたし!」
イーリスが食事処が集まった場所を指差しながら私の腕を引っ張る。
確かに、今回の依頼達成で借金の全体の5分の1くらいが集まりました。
少しくらいは贅沢をしてもいいでしょう。
「こら!メアの腕をそんなに引っ張ったらダメでしょう!」
「フフフ!知りませーん!メアリー様!早く行きましょ!」
「はいはい、分かりました。ご飯は逃げないのでゆっくり行きましょうね?」
私たちはワチャワチャしながらも、食事処に向かった。




