緑鬼の王、再び 55
「……二人共、いい加減にしなさい…」
「「……あっ…」」
イライラがだんだん募ってきて、思わず口をついて出てしまう。
すると、二人は何かを察したように引っ張っていた手を離した。
私は、二人が掴んで引っ張っていた両手首をさするようにして感触を確かめた。
そして、バツが悪そうに視線をそらす二人に向き直る。
「……二人共、私の言いたいこと、わかりますよね?」
「うっ……」
「はい……」
「ならば、あの約束も覚えていますよね?喧嘩したら?」
「「……あっ」」
同時に思い出したのか、二人の声がシンクロする。
そして、この後のことを想像したのか、二人の顔がさあっと青ざめた。
「心配しなくても大丈夫ですよ。私も鬼ではありません。あのときは百叩きと言いましたが、さすがに百回はやりすぎかなと思いますし_」
「「……ほっ…」」
私の言葉に、二人は安堵したのかホッと息をつく。
しかし、安心したのも束の間__
「なので、百回を一回に凝縮しようと思います」
「「………………えっ…」」
二人は、私の言葉に最初は意味がよく分からず唖然としていたのだが、徐々に言葉の意味を理解したのか少しずつ顔が青くなり、最終的には青を通り越して顔面が蒼白になってしまう。
「それでは、後回しにするのもアレなのでここでサクッと終わらせますね」
「「え、ちょっ待っ__」」
ヒュン!バチーーーーンッ!!
「「アッーーーーーー______」」
二人の甲高い叫び声が森の中に響き渡った。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
「……ふぅ~、終わった〜…って、どうしたの二人共?」
「ゔぅぅ……」
「いえ…なんでもありません……」
プレシさんがキングゴブリンとの交渉を終えてこちらに戻ってきた。
すると、そこにはお尻を押さえてうずくまっている人が二人、さらにそれに背を向けて不機嫌そうに両手を組んでいる私を見て、何があったのかと困惑している。
思わずプレシさんはレセプさんの方を見ると、レセプさんは力なく首を横に振る。
プレシさんは何が何だかわからずに首を傾げた。