緑鬼の王、再び 50
「__つまり、定期的にメアリーさんが戦う代わりに、ゴブリンたちを統制してくれる、と」
「そういうことですね」
さっきヴィサス様たちにした説明をもう一回プレシさんにもする。
話すと長いと言ったのだが、それでも説明してほしいとお願いされたのでしぶしぶ説明した。
ヴィサス様たちも同じことを言っていたので、同じように説明している。
もちろん、ルナのことについてはしっかり省いて説明しているので心配無用だ。
「…人間」
「っ!は、はい。なんでしょう?」
キングゴブリンがいきなり話しかけてきて、プレシさんがビクッとする。
普段、出会えば即戦闘の魔物との貴重な会話できる場面。
いまだかつて、そのようなことが出来た人間は歴史を見ても数えるほどしかいないだろう。
その中の一人になれたのだ。
きっと、感極まって思わず震えてしまったのだろう。
うんうん。
「こいつが、細かいことはお前と話せと言うから待ってやった。今からいろいろ決めるぞ」
……何故か私に嘘だろとでも言いたそうな表情を向けるプレシさん。
…ああ!なるほど!
私がわざわざ魔物と交渉出来る機会を作ったのが信じられないほど嬉しいのか!
魔物との交渉なんて、人類史上でも初めてのことだろう。
その一人目になれるチャンスを急にもらって、こんな幸運が自分で本当に良いのだろうか!?ということなのだろう。
そんなことはない。
私はこういう交渉事は苦手だし、むしろ積極的にやってもらいたい。
私はニコニコ笑顔でプレシさんにサムズアップを返す。
すると、プレシさんはまるで絶望したかのような表情になった。
ヴィサス様たちの方を見ると、諦めた表情で首を左右に振っている。
何故だ?
その後、プレシさんも諦めたような表情になると、キングゴブリンの方に向き直った。
キングゴブリンも話の続きを始める。
「我はこいつが言った通り、定期的にこいつと戦えればいい。その代わり、ゴブリンたちをある程度統制してやる。ただし、例外もある」
「えっと、例外?ですか?」
「そうだ。ほとんどが我のいうことを聞くと思うが、当然聞かない個体もいる。そういうのは討伐して構わん。我も気にしないのでそいつらは好きにすると良い」
「は、はい…」
「だが、お前たちがもし裏切るようなことがあれば、どうなるかわかっているな?」
「え、えっと……裏切るとは具体的には…?」
「当然、お前たちから攻めてきたときだ。そのときは我らの全勢力をもってしてお前たちに戦争をしかける。どちらかが滅びるまで、な」
キングゴブリンがニヤリと笑う。
私たちに脅しをかけているのだ。
もし私たちが裏切れば、今まで無差別に行動していたゴブリンたちを私たちの国に向かわせると。
今までと違い、意思を持った大軍として襲いかかることになる。
そうなれば、被害は計り知れないものになるだろう。




