緑鬼の王、再び 49
「……なるほど。我が間抜けにも隙をさらしたから撃ったと…」
「まあ、そういうことですね」
「そうか……」
目を閉じ、何かに納得したように頷くキングゴブリン。
「いいだろう。あいつの口車に乗せられるのは癪だが、代わりにお前と戦えるなら我慢しよう」
「え?それってつまり……」
「他のゴブリンたちの件は任せろ。まあ、全部とはいかないし、条件もあるがな」
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
「__はっ!ここはどこだ!?」
「あ、プレシさん起きました?」
プレシさんが勢いよく飛び上がってきた。
起き上がったプレシさんは、辺りをキョロキョロと見回している。
「覚えてますか?あのときのこと」
「あのときのこと?」
私の言葉に、プレシさんは思い出すように腕を組みながら左上に視線を上げる。
「…あ!そういえば!わたしは合体魔法を作っていて、それで__」
思い出したのか、ハッとした表情でこちらを見るプレシさん。
しかし、私の後ろであるものを見つけてからはその視線はどんどん上へと上がっていく。
「……おい、人間」
「うわぁっ!でたぁっ!」
化物でも見たかのように飛び上がりながら驚くプレシさん。
まあ、そこにいるのはキングゴブリンなのだが。
「な、なんで目の前に!?なんとか応戦して…っ!」
「プレシさん?」
「くっ!わたしの実力では足りないだろうが、時間稼ぎくらいは…っ!」
「プレシさーん?」
「こい!キングゴブリン!わたしが相手だ!」
「プレシさんっ!」
「は、はいっ!なんでしょう!」
目の前に急にさっきまで戦っていた相手が立っているからか、尋常じゃない慌てぶりだ。
そして、慌てすぎて私の声が全然届いていなかったので、耳元で大きな声を出してやった。
それでやっとプレシさんは正気に戻る。
私は大きくため息をつくと、説明を始めた。
「えっとですね、話せば長くなるのですが……」
「あ、ああ…」
「結論から言うと、和解しました」
「ああ、なるほど……ん?」
「和解しました」
「和解…?」
「はい」
プレシさんは何が何だか分からない顔で再び上を見上げる。
すると、キングゴブリンと目が合った。
そのまま横に視線をそらすと、今度はヴィサス様とレセプさんがいて、二人と目が合う。
そして、ヴィサス様とレセプさんは何かを悟ったような遠い目をしながら頷いていた。
二人共、先ほど私がプレシさんより先に説明したのですが、和解したことを説明したら二人共プレシさんと同じように呆けた顔をして、同じように辺りを見ていました。
何かおかしなことでも言いましたかね?