緑鬼の王、再び 47
「__はっ!なに…?」
キングゴブリンは目覚めた。
そしてすぐに自身の肉体を確認する。
最後に身体に大穴を開けられて倒れたのは記憶に新しい。
しかし、自身の肉体には穴どころか傷も全然ない。
一体どういうことだろうか……
身体を起こすと、目の前に穴を開けた張本人が立っていた。
「__さて、洗いざらい吐いてもらうぞ」
目が黒に染まっている。
「……あいつの方か。なんだ?何が聞きたい?」
「あの空間と空間を繋げる魔法をどこで学んだ?」
妾は一番気になっていることを質問した。
それは当然、あの力のことだ。
「魔法?ああ、あれか。あれはな…いつの間にか使えるようになっていた」
「……いつの間にか?」
「ああ。お前に前回やられていつの間にかこの近くで目覚めたと思ったら、この力が使えるようになっていた。それ以外に知らん」
「……そうか」
ということはやはりあいつの仕業だな。
あの娘の力を奪ったのもあいつだ。
ならば当然、貸し与える事ができるのもあいつだけ、という事だ。
全く、忌々しいことだ。
「その力、妾が回収するぞ。元々の持ち主に返さなくてはならないからな」
「…好きにしろ。いざという時に隙を晒すだけで何の役にも立たん。これなら、直接殴ったほうがいくらかマシだ」
再び仰向けに寝転がると、キングゴブリンは何の抵抗もしなくなった。
妾は、そんなキングゴブリンに手をかざすと、手に力を込める。
すると、キングゴブリンが光だし、その光が妾の手に吸い込まれるように集まっていく。
「__これでそなたはもうあの力は使えなくなった。先ほど言っていた通り、この力は必ずあの娘に返す。素直に返してくれたこと、感謝する」
「ふん、そんなことに興味はない。我はお前にも、お前の宿主にも負けてそれどころではないのだ」
仰向けのまま起き上がろうとしないキングゴブリン。
いくら元はあの娘の力といえど、ただで譲り受けるのはさすがに思うところがある。
妾は少し考えると、あることを思いついた。
「……メアリー。一つ提案があるんだが、いいか?」
「ルナ?どうしました?」
「キングゴブリンと定期的に戦ってやってはくれまいか?此奴は戦いさえ定期的に与えてやれば必要以上に暴れたりせん。どうだ?」
「え?」
困惑しているのが伝わってくる。
まあ、気持ちはわかる。
さっきまで命のやりとりをしていた相手と定期的に戦えと言われても、はいわかりました、とは簡単に言えないだろう。
もちろん、これは殺し合いをしろということではなく、ルールの上での試合の話だ。
もし興奮して殺そうとしたら、必ず妾が止めるから安心してほしい。
「おい、何を言っている。勝手に決めるな」
キングゴブリンも不満があるのか、仰向けから起き上がって抗議してくる。