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公爵令嬢は、元魔王です?  作者: ゆー
本編 11
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緑鬼の王、再び 45

「……ふぅ…ヴィー」


「は、はい…」



恐る恐る私の呼びかけに応えるヴィサス様。


それもそのはず。


さっきまでの私とルナのやり取りを見ていたのだから。



ゆっくり私の方に近寄るヴィサス様。



「ヴィー。お願いがあるのですが、この二人をお願いしてもいいですか?」


「え?ええ。大丈夫ですけど、メアは……」


「私は……」



視線をある方向に向ける。


ヴィサス様もそれに合わせて私と同じ方向を向いた。


そこには、キングゴブリンの姿があった。



「私はあっちを相手しなければいけません。後はお願いします」


「あ…メア………」



私がキングゴブリンに向かって歩き出すと、ヴィサス様は引き止めるように私の背中に向かって手を伸ばす。



「誰かが二人のことを見ていなければいけません。だからヴィー、二人のことをお願いしたいんです。お願いしても、いいですか?」


「……はい、わかりました。でもこれだけは約束してください。必ず帰ってくるって」



ヴィサス様の強く刺すような瞳に、私は振り返る。


あまりの真剣な表情に、これは適当に返してはいけない、そう思った。


私も真剣な表情でヴィサスの瞳に目を合わせる。



「……わかりました、必ず勝利してきます。これでは足りませんか?」


「…………はい、それで十分です。どうか、お気をつけて」



ヴィサス様は私に向かって伸ばしていた手を戻すと、覚悟を決めた表情で私を送り出してくれた。


私はそんなヴィサス様を確認すると、二人のことをヴィサス様に任せ、キングゴブリンの方に向かった。



「__お待たせしました。続きをしましょうか」


「…もういいのか?魔王の力を借りなくて」


「余計なお世話です。貴方は私の力だけで倒します」


「そうか。お前ごときにそれが出来るのか?すでにそんなにボロボロの身体のくせに?」


「うるさいです。さっさと構えなさい」



私は戦闘態勢をとる。


泣いても笑ってもこれが最後の戦いだ。


バリスタも壊され、二人が気絶している今、もう私しかこいつを倒せる者はいない。



構えた拳に力がこもる。



「__ハハハ!いいだろう!もう隠し事は無しだ!全力をもってお前を叩き潰そう!」



両手を広げて高笑いするキングゴブリン。


そして、キングゴブリンも戦闘態勢をとった。




また静寂が辺りを支配する。




「………はっ!」



今回は私から仕掛けた。


単純な、鳩尾に向かった右ストレート。



「…ふっ」



それを、キングゴブリンは左足を軸に回転しながら避け、そのまま私に向かって裏拳を放つ。


私は、裏拳に手をついてジャンプすることで避ける。


そのまま距離を取る私。


すると、私の左側に魔力の揺らぎを感じた。


嫌な予感がして、私はすぐにジャンプする。



「__二発目にして、もう見切ったか」



私がジャンプした直後、魔力の揺らぎから()()()()()()()()()



よく見ると、魔力の揺らぎから先には()()()()


そして、キングゴブリンの方を見ると、右手が途中で()()()()()()()


その右手が無くなっているところにも魔力の揺らぎがあるようだ。



キングゴブリンは腕を引き抜く動作をする。


すると、魔力の揺らぎから突き出ていた拳は引っ込み、元のキングゴブリンの右手が出現した。


やはりこれは__



「空間を繋げていますね……どうやっているのかは知りませんが…」



魔力を使い、空間と空間を繋げ、そこから遠隔に攻撃しているようだ。



「…これを避けたのはお前が初めてだ。部下に試したときには避ける素振りすらなかったのに……一体どうやっているんだ?」



一体どうやって?

そんなの、魔力の揺らぎが見えているから反応しているだけですが。


もしかして、私以外には見えないんですか?


使ってる本人さえも?



『そうだ、それは妾も不思議に思っていた。妾もあの力は予兆が全くつかめん。なのにメアリーはまるで見えているかのように動いている。一体何が見えている?』



内側からルナも不思議そうな声を響かせる。



あれはルナにさえ見えないものだったのですか?

つまり、本当に私だけが見えている……


……まあとにかく、魔力の揺らぎから空間を繋げてくるのはわかりました。


考えても私だけが見える理由なんてわかりませんし、それはこの後じっくり調べるとしましょう。

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