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公爵令嬢は、元魔王です?  作者: ゆー
本編 11
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緑鬼の王、再び 42

「ずいぶんと余裕そうだな。ならば、もう少し速度を上げるぞ__」



その瞬間、キングゴブリンの姿がかき消えた。



「っ!ぐっ!」



私は反射で頭を下げ、両腕をクロスさせて体の前に構える。


すると、数瞬もしない内にその構えた両腕にものすごく重い衝撃が伝わる。


それが殴られたことだと気づいた頃には、その重みに耐えられず思いきりふっ飛ばされてしまった。


地面の上を何度も跳ねるようにして転がる。



「どうした?さっさと本気を出さないか。でなければ、お前もあそこのやつらも皆死ぬだけだぞ?」


「くっ…!うぅ…っ!」



傷付いた身体を何とか起こす。


左腕の感覚がほとんどない。

今の一撃で持っていかれたらしい。



私の読みが甘かった。


かつて私の全力と渡り合ったのだから、まだ相手も全力を出していないと分かるはずなのに……


身体はボロボロ。

左腕は満足に動かせない。


これではもう……






「メア!お待たせしました!」






そのとき、ついに待っていた声が聞こえる。



「ヴィー!」


「メア!いつでもいけます!射線上から退避してください!」



ヴィサス様の方に顔を向けると、そこには巨大な弓矢のような、いわゆるバリスタと呼ばれるものがあった。


そのバリスタに、三人が手をかざしている。


ヴィサス様とプレシさんにレセプさんだ。



バリスタにはすでに巨大な矢が装填されており、いつでも発射できるようだ。



「なるほど。それがお前たちの切り札という訳か……」



それを、キングゴブリンは余裕の表情で見ている。


避けようという様子も一切ない。


完全に舐めきっている……今がチャンスだ。


キングゴブリンがバリスタの方に注意を向けている間に、私はバリスタの射線上から移動する。



「…こんなもの、避けるまでもない。何故なら、発射させなければ何の意味もないからだ」



その瞬間、バリスタの後ろの地面から巨大ゴーレムが姿を現す。



「なっ!」


「いつの間に!」



ヴィサス様たちは、後ろを見ると自身を見下ろす巨大ゴーレムの存在に驚きの声を上げる。


しかし、三人はその場から逃げようとしない。


それもそのはず。


この合体魔法はとても緻密な魔力コントロールを要求される高度な魔法なので、ここで制御を放棄すればその瞬間に融合させている魔力が暴走し、大爆発してしまう。


逃げることはそもそもできないのだ。



「いつの間に?そんなの、我が呪文を唱えたとき以外ないだろう?」


「っ!そんな、まさか!?」



私が蹴りで一体壊していたとき、実はこっそりもう一体作っていたのだ。


このキングゴブリン、巨大ゴーレムを作る場所もある程度離れたところで出来るらしい。


そして、地面の中に潜ませ、じっくりチャンスをうかがっていたのだ。


こうやって私たちが希望に満ちたその瞬間に打ち砕き、絶望に落とすために。



「さあ、やれ!ガイア・ゴーレム!」



キングゴブリンの声に合わせて巨大ゴーレムが右手を頭上に大きく振りかぶると、バリスタを維持するのに動けないヴィサス様たちに向かって、勢いよく右手を振り下ろした。

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