緑鬼の王、再び 31
「……あらかた片付きましたか?」
辺りを見回すと、こちらを襲ってくるゴブリンオーガの姿はない。
どうやら、全部吹き飛ばしてしまったらしい。
私はジャンプしてクレーターから外に出る。
「…ん?プレシさんたちも終わったようですね」
クレーターから出てまた辺りを見回していると、障壁の中から私のことを見ているプレシさんたちを発見した。
でも何故だか、信じられないものを見たような表情をしている。
私は理由がわからず、首をかしげる。
「…よくわかりませんが、とりあえず戻りましょうか」
周りを見てももうゴブリンオーガの姿は見えないので、ヴィサス様に言って障壁を解除してもらおうと声をかけ__
「__おお、これはあのときのやつか?」
そのとき、茂みの奥からどこかで聞いたような声が聞こえてきた。
ドスン、ドスン、とゆっくり足音がこちらに近づいてくる。
…なんだか嫌な予感がする……
私は一瞬で臨戦態勢に入ると、ヴィサス様に大きな声で呼びかけた。
「_っ!ヴィー!今すぐ障壁に穴を!」
「…え?」
「いいから!障壁を開けてください!」
「あ、はい!わかりました!」
急に私が大きな声を出してヴィサス様も混乱したのか、すぐには反応できず呆けた返事をしてしまう。
しかし、こちらの切羽詰まった様子に気づくと、すぐに障壁に穴を開けた。
「お前が相手なら不足はない。まずは挨拶からだな」
「くっ!」
穴が開いたと同時にすぐにその中に飛び込む。
その瞬間、私がさっきまでいたところにものすごい衝撃が走る。
大地に亀裂が走り、衝撃で地面がめくれ上がる。
「うっ…また貴方ですか……」
後ろを振り返ると、そこにいたのはかつて戦い、そして倒したはずの相手。
「久しいな。といっても、そんなに経ってないか?」
ゆっくりと地面に突き立てた拳を引っ込め、仁王立ちをする。
大人三人分はあろう並外れた巨躯。
人間の言葉を理解し、会話できるだけでなく、その仰々しい不遜な態度。
ゴブリンたちの王。
キングゴブリンだった。