緑鬼の王、再び 16
「それでなんですけど__」
「_あ、はい。なんでしょう?」
そうだった。
まだ話の途中だった。
慌てて膨らませた頬を縮めると、レセプさんの方に向き直る。
「少しだけですが、お二人を見て気づいたことがあります。それは、お二人共あるものを競い合っているときに喧嘩している、ということです」
「…その、あるものというのは?」
「それは知らないほうが良いと思いますよ。あのお二人のためにも。メアリー様のためにも」
「は、はぁ……そうですか」
なんだかわからないが、私がそれを知ると何やら都合が悪くなるらしい。
なんかちょっと納得いかないが、そう言うなら仕方ないか。
「納得いかないでしょうが、代わりに魔法の言葉を伝授いたしましょう」
「……魔法の言葉、ですか?」
「はい。それはですね__」
レセプさんが私にそっと耳打ちしてきた。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
「__二人共。お話があります」
「メアリー様?」
「メア?どうかしましたか?」
レセプさんから魔法の言葉を教わり、意を決してイーリスとヴィサス様のもとに向かう。
イーリスとヴィサス様は、私の真剣な雰囲気を感じ取り、少し不思議そうな顔をしている。
今の私はレセプさんから教わった魔法の言葉があります…!
恐れることは何もありません…!
目を閉じ、ゆっくりと深呼吸をする。
そして、目をカッと見開いた。
「貴方たち二人の気持ちはよく分かりました。ですが、それですぐ喧嘩していては私はとても悲しいです」
「…そ、それは……」
「そうですね……」
多少なりとも思うところがあるのか、少し落ち込んだ様子を見せる二人。
「なので、こうすることにしました。これからは、何か良いことをしたら私がご褒美を上げましょう」
「え、それって……」
「本当ですか…?」
「はい。逆に、喧嘩なども含めて悪いことをすれば、キツイおしおきが待っています。よろしいですね?」
「「………………」」
私の言葉に、示し合わせたかのようにお互いを見るイーリスとヴィサス様。
「あの、一つ聞きたいのですが、おしおきとは何ですか?」
「おしおきですか?おしおきといったらアレですよ、アレ」
「アレ?」
「お尻百叩きの刑です」
そう言って、虚空に叩く真似をして手首を勢いよくスナップさせながら振る。
すると手首の先が一瞬だけ見えなくなり、ビュン、と風を切る音がした。
「ヒェッ……」
「あんなのがお尻に当たったら私のお尻は……」
なんか、二人共私の叩く真似を見て顔を青ざめている。
おしおきといっても、子供の頃親にイタズラがバレた時にされたやつみたいなものなんだから、そこまで深刻に思わなくてもいいのに。




