私に付きまとわないでください 4
「そのような野蛮なことはお止めなさい。貴族とは常に模範となるべき存在。貴方も公爵家ならそれくらいわかるでしょう」
「えー、でも先に話し合いもせず突っかかってきたのは貴方がたでは?」
「それについては申し訳なく思います。思い込みで行動するなど貴族にあるまじき事。私が軽率であったことは認めます。ほら、貴方たちも謝罪なさい」
ヴィサス様の後ろから、か細い声で「申し訳ありません…」という声が三つ分聞こえる。
「申し訳ありません。少し怯えてしまっているようで、ご不満はあるでしょうがこれで許してはもらえないでしょうか?」
ヴィサス様も、謝罪の言葉と共に綺麗に頭を下げる。
そこまでされては、矛を収めないと大人げないというものだ。
「…わかりました。ヴィサス様がそこまで言うならこれで終わりにします」
私の言葉に、スィー様とフロー様、スエロ様はそれぞれ安堵の表情を浮かべる。
「貴方ならそう言ってくれると思っておりました。感謝いたします」
そう言って微笑を浮かべるヴィサス様は、思わず女の私でも見惚れてしまうほどに美しかった。
「…と、ところで、何故私にこのようなことを?謝罪の言葉を聞く限りお話が通じない感じはしませんし、普段のヴィサス様なら絶対になさらないことでは?」
「あ、それは…ここまで迷惑をかけたのですから言わないのも失礼ですよね…馬鹿にしないで聞いていただけますか?」
普段キリッとしていて気品あふれるお嬢様が、顔を赤らめてもじもじしていらっしゃる。
…私にそのような趣味はないはず…ですが、可愛すぎて目が離せないですね…
…ってダメダメ!
頭を左右に振って、煩悩を頭から消し去る。
そんな私の様子を不思議に思ったのか首を傾げるヴィサス様。可愛い。
「…ふぅ…はい、聞きましょう」
「あ、ありがとうございます。実は__」