緑鬼の王、再び 11
「アハハハハハハ!アハハハハハハ!」
「グガァッ!」
「ゴアァッ!」
右のゴブリンオーガを顔面を殴り飛ばして、即座に左のゴブリンオーガのみぞおちを蹴り飛ばす。
右のゴブリンオーガは殴られた勢いのまま地面を転がり、左のゴブリンオーガは膝から崩れ落ちてあまりの苦しみに反射でみぞおちを両手で押さえる。
その間に、後ろから別のゴブリンオーガが両腕を勢いよく振り下ろしてくるが、それを左手で受け止めると空いている右手でお返しとばかりに胸の部分を殴り飛ばした。
「ガッ…グッ…ゴッ…グアッ…!」
殴られたゴブリンオーガはそのまま地面を転がり、大木に命中すると動きを止めた。
これですよ、これこれ!
血湧き肉躍るこの瞬間!
これこそ、私らしいと言うものです!
フフフ!笑いが止まりませんね…!
「さぁ、私を楽しませてみなさい。可愛がってあげましょう」
殴って蹴飛ばした三匹のゴブリンオーガが、ゆっくりと苦悶の表情をしながらも立ち上がってくる。
そうです。
それでこそ、わざわざ手加減した甲斐があったというものです。
さぁ、もっともっと楽しませてください!
「……笑っていますね」
「…はい、笑っていますね」
それを遠くから見ている人影が二つ。
イーリスとヴィサス様だ。
「……すっごくキレイな笑顔ですね」
「…そうですね」
今までに見たこともないくらい、思いっきり無邪気な笑顔だ。
それだけなら大変微笑ましい光景なのだが、その無邪気な笑顔のまま、ゴブリンオーガを嬲り、痛めつけて喜んでいるのだからたちが悪い。
「アタシ、こんな人に決闘を申し込んでたの?」
「…生きててよかったですね」
「……アタシ、絶対メアリー様に逆らわないようにする」
_なんだか失礼なことを考えてそうですね?
私はただ、危険な存在であるゴブリンオーガを国民が襲われる前に排除しようとしてるだけですけど。
そのついでにお金を稼がせてもらうのと、ちょっとストレス発散になるかなと思っているだけです。
決して、個人的な私怨をぶつけて喜んでいる訳ではありません。
…本当ですよ?
チラッとイーリスとヴィサス様の方を見ると、何やらドン引きしたような表情でこっちを見ていた。
ゴブリンオーガを退治してるだけなのに、解せぬ。