緑鬼の王、再び 8
「はい、受理しました。ただいまからEランク冒険者です。これが、冒険者証ですよ」
受付の人から三つの冒険者証を受け取る。
そこにはそれぞれの名前と、冒険者ランク、ついでに顔写真までついていた。
いつの間に写真なんて撮られたのだろう?
「先ほどの契約書自体に、サインをした者の顔写真を撮る特殊魔法がかけられていますから」
私が疑問に思っていると、先に答えてくれる受付の人。
「それでは改めまして、冒険者組合へようこそ。ここは平民も貴族も関係ない公平で対等な場所です。貴方様方のこれからのご活躍を、心より期待しております」
深々と、頭の上まで見えるほどお辞儀する受付の人。
今、貴族のことに対して言及してきましたね。
それはつまり、私たちが貴族であると認識しているということである。
まあ、名前とか隠してるわけでもないし、変装もしてないから顔も丸出しなので当然と言えば当然だが。
そして、私たちを貴族と認識した上で公平と平等を強調しているのは、貴族だからと贔屓したりしないと、暗に伝えているのだろう。
身分ではなく、能力で価値を判断する。
他の貴族は知らないが、贔屓などされたくない私にとっては素晴らしいことだ。
「それでは、早速依頼を受けましょう!実は、すでに持ってきてあるんですよ!」
そう言って、イーリスは手に持っていた依頼書を見せてくる。
「……薬草採取?」
「はい!今のアタシたちはEランクなので、受けられる依頼は少ないのですが、これなら稼げますよ!」
「…なるほど。よくわかりませんが、初めてのことですし貴方の言う通りにしてみますか」
「ありがとうございます♪それでは受けてきますね!」
トテトテと、イーリスは依頼書を持って受付に向かっていった。
「……本当に大丈夫なんですかね?あのイーリスが選んだものですよ?」
ヴィサス様は何故だか不安な様子。
「大丈夫ですよ。もしもトラブルが起きたなら実力で排除すればいいだけです。私たちには、それだけの力があるでしょう?」
自惚れているとまでは言わないが、さすがにその辺のチンピラよりは強いという自負がある。
一応最低ランクのEランクの依頼みたいなので、そこまで大変なことも起きないだろう。
「__依頼受けてきましたよー!早速行きましょう!」
こっちに片手を振りながら意気揚々と戻って来るイーリス。
「イーリスも戻ってきましたね。それでは行きましょうか」
「…はい。メアがそう言うなら……」
ヴィサス様はまだ何か不安そうだが、依頼をこなしていれば自然とその不安も消えるだろう。
それでは、依頼を解決しに行きましょうか。