緑鬼の王、再び 5
「どうしたんですか?こちらですよー?」
「ああ、はい、今行きますよ」
出かける前のことを思い出して私がいつまでも来ないので、イーリスがウエスタンドアを中から開いてこちらの様子を伺いに戻ってきた。
私は、イーリスの声で現実に引き戻されると、ここに来た目的を思い出し、ウエスタンドアを押して中に入る。
するとそこは、外からは想像できないくらい喧騒に満ちていた。
右を向くと、丸テーブルを囲ってガタイの良い男たちが昼間から酒を酌み交わし、笑っている。
左を向くと、ダーツやらビリヤードやらが置かれており、歓声や悲鳴が聞こえてくる。
聞こえてくる話を聞く限り、金品をかけている様子だ。
「_どうです?入ってみた感想は?」
正面を向くと、イーリスが私の顔を覗き込んでいる。
「…どうもこうも、思ったより騒がしいところですね」
チラッと、先ほど見た右と左を流し目で見る。
「アハハ…さすがに依頼の紹介料だけではここを維持できないみたいですねぇ。その上、依頼の中には魔物の討伐もあります。そういったものを主に受けている人たちは戦闘は得意なんですが教養は……まあ、そこはご愛嬌ということで」
私の鋭い視線に、苦笑いのイーリス。
「そうですよ!こんな騒がしいところにメアを連れてくるなんて!」
そのとき、私の後ろからヒョコッと顔を出したヴィサス様が抗議の声をあげる。
「……アナタは呼んでないんだけど?」
「私がメアを独り占めさせると思いますか?この私が!」
ジト目で見るイーリスを意にもかいさず、謎に胸を張るヴィサス様。
「……はぁ、もういいわよ。どうせアナタは犬みたいに何を言っても付いてくるでしょうし」
「お、やっとわかったんですか?ミジンコ並みに理解力がないんですね」
「はぁ?」
「なんですか?」
剣呑な雰囲気でお互いを睨みつけ合う二人。
「おー、お二人はいつの間にそんなに仲良くなったんですか?」
「「仲良くなんてない(です)!!!」」
二人共、勢いよく私の方に向くと同時に同じことを叫ぶ。
おお、息ぴったりですよ、お二人共。




