白黒ハッキリつけましょう 25
「なるほど。そういうことか」
「イーリス嬢を守るためにメイドにするなんて、メアリー嬢はお優しいのですね」
「でもよ、あの顔見たか?怖すぎて、直接見られてない俺ですら悲鳴を上げそうになったぞ」
「メアに私のものだって宣言してもらえるなんて…羨ましすぎます…どうにかしてメアにバレないように◯せないでしょうか?」
「「「ヴィサス様……」」」
レオン殿下、ゴヴェル様、シルト、ヴィサス様、最後に三人娘がそれぞれ思い思いの言葉をもらす。
というか、私は別にイーリスを守った訳じゃありませんから。
ただ、メイドがそろそろ欲しいなって思っていたのでちょうどよかっただけです。
本当にそれだけです。
それと、ヴィサス様結構物騒なこと言ってますけど、そんなことしたら絶対駄目ですからね?
あ、シルトはちゃんとねじ切るのでご安心ください。
「さて、今度こそ行きましょうか。ねぇ、イーリス」
「ひゃ、ひゃいっ!」
「ん?」
なんか、イーリスの様子がおかしいですね?
抱えているイーリスを見ると、何やら少し怯えているような、それでいて高揚しているような、なんだかそんな風に見える。
よくわかりませんが、まあいいでしょう。
早くイーリスのメイド服を注文しに行かなければ。
先ほどまで私に抗議していた女生徒に視線を向ける。
「うっ…………」
怯えた表情で視線を下に泳がせ、私と目を合わせないようにしている。
よく見ると、身体も小刻みに震えていて少し哀れに見えた。
これ以上話がないことを確認し、私は一瞥だけすると、今度こそ模擬戦用の広場の出口に向かう。
「あ、イーリス嬢!ちょっと待ってくれ!」
「………次はレオン殿下ですか…?」
何度も何度も呼び止められ、さすがにイラッとしながら振り返ると、そこにいたのはレオン殿下だった。
「どうされましたか?出来るだけ手短にお願いしたいのですが」
不機嫌なのを隠しもせず、急かすように話を進める。
大変失礼なことなのだが、今の私はイライラが勝りすぎて、そこまで気を回す余裕がなかった。
「い、いや!大事な話なんだ!」
レオン殿下もそれを察して、慌てて大事なことなんだとアピールする。
それを見て私は、バレないように小さく息を吐いた。
「はぁ…いえ、こちらこそレオン殿下に大変失礼なことをしてしまいました。申し訳ありません」
「いや、あんなことがあれば気が立つのもわかる。気にしなくていい」
コホン、とレオン殿下は咳払いをする。
「それで、お話というのは?」
「いや、それがな…一応確認するんだが、イーリス嬢はもうメアリー嬢が管理する、ということだな?」
「はい、そうです」
「ならば、イーリス嬢が何か問題を起こした場合、それの責任を取るのはメアリー嬢、ということで間違いないな?」
「えっと、まあ…そう、です…ね?」
なんですか?
なんだか嫌な予感がします。
これ以上先を聞いてはいけないような……
「これを言うのは大変心苦しいんだが……これを見てほしい」
レオン殿下に促され、辺りを見てみると、そこは穴だらけの模擬戦用の広場があった。
「多少の爆発ならよかったんだが、さすがに地面そのものを削り取られてしまっては再生のしようがない」
「…………つまり?」
「メアリー嬢。修繕費、よろしく頼む」
「………………………はい」
私は、一瞬で借金まみれになった。




