白黒ハッキリつけましょう 23
「で、ですが今は違います!今はメアリー様の素晴らしさも十分理解しています!もう二度とあのような愚かなことはいたしません!」
この雰囲気の中、よくしゃべる令嬢である。
ここまできて、もうあとには引けなくなっているのだろう。
そして、その女生徒の言葉に周りにいた一緒に抗議していた女生徒たちもウンウンと頷く。
「…だから、何だと言うのです?」
「だ、だから、こうしてメアリー様の素晴らしさに気づいたのですからそれをお守りしたいのです!その方と共に居られれば、必ずメアリー様に災いをもたらすでしょう!」
「「そうですそうです!」」
「………………」
必死なのだろう。
まるで追い詰められたかのような、真剣な表情で弁明している。
周りの女生徒たちも、その雰囲気を察して一生懸命同調してくる。
そんな女生徒たちを見て、私は何を言うでもなく、さらに冷ややかな視線を向けた。
雰囲気もますます重くなっていく。
「そ、その……メアリー様…?」
重苦しい雰囲気に耐えかねて、最初に抗議していた女生徒が緊張した面持ちで私に声をかけてきた。
「……まず貴方たちは勘違いしています」
それに対して、私は底冷えするような声で話し始める。
「先ほどああ言っていましたが、無色だと蔑んでいたことは元々気にしていません。理由?そんなの、その辺の小鳥がさえずっているのを聞いて腹が立ったりしますか?」
「め、メアリー嬢それは__」
「それともう一つ。貴方たちはさっきから散々私のためだと言いますが、それ、ただの詭弁ですよね?」
「そ、そんなことは__」
「ありますよね?貴方たちは、普段聖女だぞと偉そうで、その上自分たちに危害を加えようとしたイーリスのことが気に食わない。それなのに、何故か私がメイドとして囲い込んでしまった。元々は平民だったくせに、ただの運だけで聖女から公爵令嬢の庇護まで受ける彼女のことが妬ましい。だから、私を説得して罰を与えてもらおうと思った。違いますか?」
「………………」
何度も彼女の言葉を遮り、追い詰めるように言葉を重ねる。
「…………何故ですか?メアリー様は普段からあの方に迷惑をかけられていたはず。その上、今回にいたっては決闘まで申し込まれて散々酷い目にあった。もはや、あの方を守る理由はないはずです」
「守る理由、ですか…」
さすがに思うところがあったのだろう。
納得いかないという顔で私に聞いてくる。
理由ですか?そんなの__
「貴方たちが気に食わないからに決まっているでしょう?むしろ、それ以外にあります?」
「な……っ!」
私の言葉に、目を見開いて驚く女生徒。
いい気味だ。