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公爵令嬢は、元魔王です?  作者: ゆー
本編 10
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白黒ハッキリつけましょう 21

「迷惑?貴方程度が起こすことなど、私には些末なことです。それとも、貴方がいるぐらいで私がどうにかなるほど、頼りない女に見えますか?」


「い、いえ!滅相もございません!」



私の言葉に、イーリスは座り込んだまま背筋をピンッと伸ばす。



「ならばよろしい。これより、貴方は私のメイドです。ほら、いつまで座っているんです?」


「あわわ!すみません!」



私は、座り込んだままのイーリスに手を差し伸べる。


そして、イーリスの両手を掴むと、そのまま引き上げて立たせた。


顔はグチャグチャのまま、足はプルプルと震えている。



「いつまで泣いているんです?私のメイドともあろうものが、いつまでも泣いていてはカッコ悪いでしょう?」


「はい!すみません!…ズビーッ!」


「あ…フフッ、もう何をしてるんだか…」



いつまでも泣いているので私はハンカチを取り出し、イーリスの目元を拭ってあげる。


すると、イーリスは思いきり鼻をすすった。

鼻水まで勢いよく吸い込む。


その貴族らしからぬ行為に少々呆れてしまうが、その後泣かないように一生懸命顔を強張らせているのを見ると、なんだか憎めなくなってしまう。




…さっきまでは決闘までしてた間柄でしたけど、こうしてみるとまるで妹が出来たみたいでなんだか可愛いですね……




至らないところは多々あるが、それがかえって可愛らしいという、なんとも奇妙な感覚。


なんとなく守ってあげたくなるような、そんな感じだ。




……もしかして、これが母性というやつですか?

まあ、私子供なんていないんですけど。





「くうぅぅぅぅっ!メアに涙を拭ってもらえるなんて…っ!なんて羨ましいぃぃぃぃっ!」


「まあまあ……」



そんな中、ハンカチを口にくわえ、血の涙を流さん勢いで悔しがっている人が一人いた。





「……な、なあ、これってどうなんだ?」


「いや、どうって言われてもなぁ……」



そのとき、私とイーリスのやり取りを見て思うところがあったのか、そんな声が聞こえてくる。



「さて、決闘も終わったことですし、帰りましょうか。貴方のメイド服も新調しないといけませんしね」


「え?あ、メアリー様!?」



当然、私はそんな声を無視し、イーリスをお姫様抱っこで抱えると、削れてしまった地面をジャンプして飛び越え、そのまま早々に帰ろうとする。



「め、メアリー様!じ、自分の足で歩けます!」


「何を言っているんですか。あんなに魔法を撃って、その上大技まで使ったんです。もう魔力がなくて歩くのも辛いのでしょう?今は大人しく抱かれていなさい」


「は、はいぃぃぃぃ…………」



何故だろうか。

私がそう言うと、イーリスは顔を赤くして俯いてしまった。





「○す○す○す○す○す○す○す○す___」


「……ヴィサス嬢……」



そして、それを見たある人は、もはや呪詛を吐くだけの憐れな存在へと成り果てていた。

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