白黒ハッキリつけましょう 7
「ルールをおさらいするわ。一つ、この決闘は一対一で行うこと。二つ、気絶、もしくは降参した時点で相手の勝利となる。三つ、武器、魔法の使用はあり。ただし、毒などの使用は禁止。四つ、敗者は勝者の言うことに一つだけ、必ず従わなければならない。何か質問ある?」
「いいえ、ありません」
今イーリスが言った四つは、昔からの決闘における基本的なルールだ。
場合によっては人数を変えたりなど、その都度細かくルールが決められる。
今回は、基本のルールのまま変えずに決闘を行うようだ。
「よし、それじゃあ、距離を空けるわよ」
一定の距離をとる。
だいたい、相手が2本の指で隠れるぐらいの距離間だ。
距離をとると、イーリスは振り返ってポケットから一つコインを取り出す。
「このコインを今から空中に飛ばす。そして、地面に落ちたその瞬間、決闘開始よ」
「わかりました。いつでもどうぞ」
「フンッ!その余裕、必ずはがしてやるわ!」
そう言って、イーリスは親指でコインを空高く弾き飛ばした。
コインは綺麗な弧を描き、地面へと落下する。
3…2…1…
チャリンッ!
「ホーリー・スフィア!」
コインが落ちた瞬間、慣れた様子で呪文を唱えるイーリス。
私の方に手のひらを向けると、そこに白い光が集まりだす。
頭1個分くらいの大きさになると、私に向かって放ってきた。
「へぇ、これが聖女の魔法ですか」
白い光がなんとも美しい。
速度もそこまで遅くない。
ドンッ!
そして、そのまま私がいたところに着弾すると、爆発して土煙が舞い上がった。
「よし!やった!?」
徐々に土煙が晴れて、少しずつ見えるようになってきた。
しかし、そこには大きな爆発のあとがある地面があるだけ。
「あれ!?どこいった!?」
イーリスはキョロキョロと辺りを見回す。
土煙が完全に晴れて視界が開けたとき、私は爆発のあとのすぐ横に立っていた。
「初級の魔法みたいですが、威力も悪くない。使い勝手もよさそうですね」
そんな私は無傷。
制服にいたるまで汚れ一つ付いていない。