白黒ハッキリつけましょう 6
「私が呼んでおいたの!これでもう誤魔化しも出来ないし、逃げることも隠れることも出来ないわよ!」
広場の中央には、腕を組んで仁王立ちしているイーリスの姿があった。
私は、ゆっくり歩いて近づいていく。
「逃げるなんてしませんが…誤魔化し?よくわかりませんね」
「とぼけたって無駄よ!無色なのに自信満々に決闘を受けるから不思議に思ってたんだけど、アタシ気づいたんだから!どうせ何か仕掛けてるんでしょ!?」
…どうやら、私が属性魔法が使えず戦闘出来ないと思われているようです。
それでも堂々と決闘を受けるから、何か卑怯な手を使っているだろうと。
それを封じるために人を集めた、と。
…………私が卑怯な手を使う?
「…潰してあげますよ。完膚なきまでに」
「ひ…っ!」
目の前にいたイーリスが悲鳴を上げる。
おっと、いけないいけない。
私としたことが熱くなりすぎました。
卑怯者と言われている気がして、少々気が立ってしまいましたね。
クールダウン……
目を閉じて、深呼吸をする。
そして、ゆっくり目を開けた。
「そ、そんな怖い顔したって、無駄なんだからね…っ!」
引きつった顔をしたイーリス。
周りからも、いつの間にか声が聞こえなくなっている。
そんなに私の顔は怖かったですか?
失礼ですね。
「メアリー嬢ー!」
そのとき、広場の外縁部から私を呼ぶ声が聞こえてくる。
「レオン殿下?それに皆さんも」
声がした方に目を向けると、そこにはレオン殿下にヴィサス様の姿が。
それにスィー様やフロー様にスエロ様。
あとゴヴェル様に、ついでにシルトの姿も見えた。
「皆さんどうしたんですか?わざわざこんなこところに」
「いや、メアリー嬢がちょっと心配でな?」
私の心配?何を心配することがあるのでしょう?
「くれぐれもやりすぎるなよー!」
…………失礼な!
「レオン殿下!見ていてください!この者の秘密を暴いてみせます!」
イーリスが、真剣な表情でレオン殿下に向かって何か言っている。
秘密?そんなもの、私にあったでしょうか?
もしかして、授業中にこっそり居眠りしていることでしょうか?
違いますよね?