白黒ハッキリつけましょう 5
「い、いや、なんでもない。とにかく!明日の放課後、いつも授業で使ってる模擬戦用の広場に来て!許可はもう取ってるから!」
おー、なんとまあ用意がいい。
どうやってかはわからないが、模擬戦用の広場の使用許可が下りたらしい。
あそこは、実戦を意識して作られているので結構丈夫だし、そこそこ広い。
決闘をするにはもってこいの場所だろう。
「わかりました。放課後、お伺いします」
「え、あ、うん……ほんとにいいんだ…無色のはずだよね…?」
またもや、最後の方がよく聞こえない。
しゃべるなら、もっとハッキリしゃべってほしい。
「まあいいです。それでは、私はもう休みますので。それでは」
「え、あ、はい…お休みなさい……」
何故だか知らないが呆然としているイーリスにお休みの挨拶をし、ゆっくりと扉を閉める。
そして、扉の向こうから
「一体どういうことーっ!?」
イーリスの叫び声が聞こえてきた。
『ハハハッ!忌々しいヘルディンの名前を受け継ぐ者だが、それを除けば愉快なやつだな!』
「面倒なだけです。ほら、さっさと休みますよ」
扉の向こうは無視し、部屋に備え付けてあるお風呂の準備を始めた。
え?お風呂はメイドに準備させないのかって?
私は、メイドがいると自由がなくなる気がして連れてきていません。
その分、なんでも自分でしないといけませんが、メイド用の部屋も自分の部屋として使えますのでお得ですよ。
まあ、今は物置になってるだけですが。
〜時は流れ、翌日の放課後〜
「お待たせしました。それで、これは一体どういうことです?」
授業も終わり、約束通り模擬戦用の広場に来てみるとそこは__
「今から無色の公爵令嬢と今代の聖女の決闘が始まるらしいぞ!」
「どっちが勝つと思う?」
「今代の聖女だろ。なんてたって、相手は属性魔法が一切使えない無色だからな」
「いや、相手は最近聖女だとわかった平民上がり。魔法なんてまともに使ったこともないでしょうし、さすがにメアリー様が勝つのでは?」
……ギャラリーがこんなにたくさん。
模擬戦用の広場の外縁部には、いたるところに人だかりが出来ている。
聞こえてくる話的に、今日の決闘を見に来たこの学園の生徒たちのようだ。