レオン殿下は思案する
「面白い!あれは是非とも欲しい!」
あれからメアリー嬢を説得したが、上手く説得することができなかった。
私は無色ですからどうのーって言ってたが、あれは王族のことを煩わしく思ってるな。
普通なら王族に取り入り、利権やらなんやらを手に入れようと表向きでは友好的にしてくる貴族たちばかりだが、あいつは違った。
むしろ、関わりたくないといった態度で距離を取ろうとしてくる。
金やら権力やらには興味がないのだろう。
そういうやつは、いざというときに賄賂で靡かない。
「その上、貴族三人を倒したときはほとんど動きが見えなかった。噂では、属性魔法も使えない落ちこぼれだという話だったが…」
これは評価を改めなければいけないなと思った。
無属性魔法しか使えなくても、あんな動きができるなら雑魚は相手にならないだろう。
「裏切りの心配がない上に、本人も強いなら暗殺にも対抗できる。それに政治的な事も正しく理解できるだけの賢さもある」
公爵令嬢でもあるから家柄も十分。
さらに何と言っても、誰もが目を引かれるその美しい容貌。
これだけの好条件が揃ってまだ無色だと馬鹿にするなら、そいつは見る目がないと言わざるをえない。
「誰かに気づかれる前に囲ってしまわなければ。まずは毎日声をかけてみよう」
唯一の難点は、俺というより王族に対していい印象を持っていない点だろう。
そこは、これから徐々に解きほぐしていこう。
「さて、明日からが楽しみだな!」
いい掘り出し物を見つけてご機嫌になりながら、明日からメアリー嬢をどう口説き落とすかについて思いを馳せた。