表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/317

信頼

「…なぁ、勇者よ。妾はこの世界に不要か?」



ここには何も無かった。


いや、厳密に言えば何も無い訳では無い。

ただ、この部屋には人が住んでいる痕跡のようなものが何一つなかった。


入口から左右を見渡せるほどに広く、部屋の中心から左右に柱が等間隔(とうかんかく)で立ち並ぶ。


その一番奥になんの飾り気もない石で出来た椅子が一つ。


そこは、形だけ見ればまるで【玉座の間】のようであった。



「妾は、生きていては…生まれてきてはいけない存在だったと思うか?」



その座り心地の悪そうな椅子に座る者がいた。


その者は、正に絶世の美女であった。


少しの乱れも無く、綺麗に腰の高さに揃えられた漆黒の髪。

光すらも吸い込みそうなほどに混ざりけのない、宝石のような美しい漆黒の目。

そして、その中心には、何者であっても一度見たら魅入られそうなほど美しく透き通った藤紫(ふじむらさき)の瞳。


谷間がハッキリ見えるほどに実った二つの双丘に、相反するようにキュッとくびれた腰回り。

さらに、その細い腰回りから見事な曲線を描いた、見る者全てを魅了しそうな豊満な臀部(でんぶ)


スラッとしたシミ一つ無い手足に、人間にはあり得ないほど左右対称に整った美貌。

それらを強調するかのように漆黒のマーメイドドレス身に(まと)ったその姿は、見る者が思わず邪な想いを抱いてしまうほどに美しく、そして妖艶な色香に満ちていた。



そんな彼女から、ある質問が投げかけられる。



「…そうかもな。お前がいるだけで人間は恐怖し、安心して生活できないんだと」



それに答える男が一人。


彼女から勇者と呼ばれる男。


彼女とは逆に綺麗な金髪で、短く切り揃えられている。

瞳も同じ金色で神々しく煌めき、さらに長年愛用してきたであろう薄汚れた鎧と剣に光が当たって鈍く光る様が、歴戦の猛者を彷彿とさせある意味美しく見えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ