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群青の国のアリス  作者: ラナ
第四章   姫を陥すのは
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似てる ―その瞳が見るものは―

 私が外に出ると、ティオたちはいなかった。もう帰ってしまったのかもしれない。

 まだ部屋に帰る気にはならない。あんなに暑かったのに、今は特に何も感じない。


「……お散歩でも、しようかな」


 ここで立っていても仕方ない。私はゆっくり歩き始めようとして、立ち止まった。

 見覚えのある銀髪。隣には、金髪のグラマラスな女性。


「きゃははっ! もー、ロストったらぁ」


 なんだ、あの女。猫なで声が、何とはなしに気に障る。

 たぶん、彼女じゃない。ロストのことが好きというより、ただ気に入られたいだけなのが見え透いている。



 だけど、似てる。




 自信なんてかけらもなくて、


 「いらない子」になりたくなくて、


 出来るだけ相手に気に入られるように動いていた、




 私に。





「あれ、ありす?」

「ちょっと、ロスト!?」


 ぼやっとしていたら、いつの間にか目の前に銀髪が迫ってきていた。

 お姉さんが怒っていってしまったけれど、いいんだろうか。


「何してんの?」

「ん、お散歩」

「風流だねえ」

 

 ……風流か?


「ロストこそ、何してるの」

「さあね」

「ちょ、不公平……!」


 ふふんと笑う顔も、妙に様になる。

 シルバやレザンをはじめ、この国の人たちはみんな超がつくほどの美形だけど、ロストの美形には独特のオーラがある。

 




 言ってみれば、人形のような美しさ。



 いつでも乾いた笑いを浮かべて、いつでも冷たく蒼ざめて。






 そう、それはまるで蝋人形。






「何考えてんの」

 ほら、またそうやって笑う。



 きっと彼も、私やあのお姉さんと一緒。


 心だけ違うところをさまよってるんだ。


 自信家に見えるけれど、中身は違う。




 自分でも自信が持てない自分を受け入れてもらうため――――























    だ  れ  に  … … ?








群青の国のアリス、今回でちょうど20話目となりました。まだまだ続きますが、これからもよろしくお願いします!

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